肉食派の筆者が、たまに無性に食べたくなるのがプライムリブ。極上の骨付き牛肉の塊にスパイスを塗り、時間を掛けて焼き上げる、アメリカンスタイルのローストビーフである。
プライムリブの名店と言えば、1938年にアメリカ・ロサンゼルスで誕生した「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」。ローストした大きなプライムリブを運べる巨大な特製カートで客席を移動し、お客さまの好みの焼き加減と厚さに目の前で切り分けるサービススタイルを考案。これが人気を博し、現在米国内4店舗、アジアに4店舗を展開。日本では、ワンダーテーブルが業務提携契約を結び、東京と大阪で3店舗を経営している。中でも恵比寿ガーデンプレイス店は、320席で年商約10億円以上というのだからスゴイ。昨年、日本初上陸の地である赤坂に再出店したので、先日訪ねてみた。
約300坪、天井が5メートルという大迫力のスペースに248席を有する同店。テーブルクロスもなく、余計な物を一切そぎ落としたシンプルな空間は、モダンでスタイリッシュな雰囲気。
メニューもシンプル。日本限定の120グラムの「トーキョーカット」から、500グラム強もある「ダイヤモンド・ジム・プレーディーカット」まで、5種類の中からサイズを選べば、サラダとヨークシャープディング、マッシュドポテトなどが付いたコース仕立てになる方式。
まず、「オリジナル・スピニング・ボウル・サラダ」がワゴンサービスされる。氷の上でボウルを回転させ、高い所からオリジナルドレッシングを投入。くるくる回るボウルの中で、レタスやビーツ、みじん切りのゆで卵などをあえるパフォーマンスが楽しい。
そして、お待ちかねのプライムリブが登場。ちなみにプライムとは、アメリカンビーフの格付け制度で、最も高い肉質等級を表す。つまり、最上級のリブロースということ。しかも世界最高品質といわれる、クリークストーン社のブラックアンガスを使用している。
筆者はミディアムレアの部分をカットしていただいた。下から2番目のカリフォルニアカットでも、かなりのボリュームだ。低温でじっくりローストすることで閉じ込められた肉汁があふれ、ナイフがスッと入る軟らかさ。ちょっぴり多いかと思ったが、ペロリと食べられてしまう。日本限定のガーリックライスも、パラッと仕上がり美味。
その後、笑顔とホスピタリティの素晴らしい橋本彩副支配人に、エントランスにある「フランクバー」に案内していただき、食後酒と共に口福の余韻を楽しんだ。あぁシアワセ!
同店のように海外ブランドを誘致する戦略が成功し、リーマンショック当時の業績から奇跡的なV字回復を成し遂げた同社。
現在海外7カ国に60店舗あるそうだが、将来は10カ国100店舗を目指し、アジアを代表する「レストランの会社」を作っていきたいという秋元巳智雄社長。彼の経営手腕があれば、実現はそう遠くないだろう。
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。
サラダが回っているところ
出来上がりを一人ずつに取り分けたところ
シルバーと呼ばれる巨大なワゴンは、プライムリブを温かいまま運べる
ワゴンの中には、大きなプライムリブが縦置きになっている
切り分けられたプライムリブ
ヨークシャープディング
日本限定のガーリックライス