【特集】見出しで振り返る2016年の観光


 2016年の最終号に当たり、今年1年の観光業界を本紙の見出しと写真で振り返ってみる。北海道新幹線の開業など明るい話題がある一方、地震、台風など自然災害も多い1年だった。旅館業界は「民泊問題」への対応も迫られた。

1月

◆「一般物品」も5000円に 与党が12月16日に決定した税制改正大綱に、訪日外国人旅行者向けの消費税免税制度の拡充が盛り込まれた。消耗品以外の一般物品が免税となる最低購入金額を引き下げる。一般物品、消耗品ともに最低購入金額は5千円に。(1日付)

◆訪日外客1900万人を突破 2015年の訪日外国人旅行者数が12月19日に累計1900万人を突破。石井国交相が明らかに。過去最高は14年の1341万3千人。4割以上の伸びを示す。(5日付)

◆倍増の200億円を計上 政府が12月24日決定した2016年度予算案。観光庁予算は200億1500万円で、15年度当初予算比約2倍増に。震災復興で復興庁に計上された観光予算を含めると約2・4倍の245億4500万円。外客受け入れを重視。(16日付)

◆耐震改修の支援を延長 国土交通省の2016年度予算案に、改正耐震改修促進法に基づき耐震改修を行う旅館・ホテルなどの建築物への支援措置の延長が盛り込まれた。適用期限を2018年度末までとする。(16日付)

◆厳かに認定証授与式 本社主催「人気温泉旅館ホテル250選認定証授与式」が1月22日、東京の浅草ビューホテルで開催。旅館、来賓ら約500人が出席する。二階衆院議員らが入選旅館経営者らを激励。(30日付)

◆簡易宿所の面積要件緩和 厚生労働省が民泊への当面の対応について、旅館業法の簡易宿所の要件を緩和し、営業許可を取得しやすくする方針を決める。4月1日の施行を目指して客室面積の基準を定めた政令を改正。フロントの設置を求めた通知も見直す。(30日付)

2月

◆「違法営業取り締まりを」 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の北原会長が東京で民泊問題について記者会見。「宿泊業界の考え方」として、現在違法で行われている民泊の早急な取り締まりを要望。法律に基づいた営業許可を取り、既存の旅館・ホテルとフェアな競争関係を築くべきだと強調した。(6日付)

◆「機能確立で活性化を」 観光庁が「日本版DMOの形成に向けて」と題したシンポジウムを東京都内で開く。注目が集まるDMOのあり方を有識者が講演やパネルディスカッションで提言した。(13日付)

◆アドバイザー会議を被災地ホテルで開催 東北の観光復興を効果的に推進するため、有識者の意見を聞くことを目的として復興庁が設置した「東北アドバイザー会議」が宮城県で行われる。石巻市の被災地などを視察。南三陸町のホテルで会合を開く。(20日付)

◆「再生型」の倒産増える 帝国データバンクがまとめた2015年の旅館・ホテル経営業者の倒産。件数は前年比8・9%増の86件。東日本大震災の2011年以来、4年ぶりに増加。事実上の再生型とみられる特別清算、民事再生の割合が増加。(27日付)

3月

◆「国内観光に数値目標を」 日本商工会議所が国の観光施策への提言としてまとめた「今後の観光振興策に関する意見~『新たな観光ビジョン』策定への期待~」を公表。訪日外国人旅行者を全国各地に分散、拡大させる施策や、日本人の国内観光に具体的な目標数値を定め、地域や民間の取り組みを促すよう求める。(5日付)

◆火山と観光、課題共有 火山を抱える温泉観光地が課題や施策を共有する「火山温泉観光サミット」が神奈川県箱根町で初めて開かれる。火山に関する知識の普及、防災対策、経済被害の回避策などを検討。(12日付)

◆大都市の稼働率上昇 観光庁が宿泊旅行統計調査の2015年年間値を発表。宿泊施設の客室稼働率は全国平均が60・5%で、前年比3・1ポイント上昇。大阪府が85%、東京都が82%と大都市部とその周辺で高い値。地方と格差。(19日付)

◆“民泊の真実”語る 全旅連と日本旅館協会が東京都内で緊急フォーラム「民泊の真実~今、観光立国フランスで起こっていること~」を開く。フランスのホテル団体のトップらが、民泊の増加でホテルの稼働率低下や、民泊がテロの温床になっている同国の現状を報告。(26日付)

◆「届け出制」視野に法整備 厚労省が管理機能などで一定の要件を満たす民泊サービスについて、旅館業法の営業許可制より規制が緩やかな届け出制などを念頭とした法整備を目指す方針を示した。(26日付)

4月

◆北海道新幹線が開業 北海道新幹線(新青森~新函館北斗、148・8キロ)が3月26日開業。東京~新函館北斗が最短4時間2分で結ばれる。道南を中心とした北海道全域や青函圏の観光活性化にと地元の期待が高まる。(2日付)

◆対応例示、工夫促す 観光庁が入れ墨(タトゥー)がある訪日外国人の大浴場や温泉の利用に関する施設の対応について、留意点や受け入れ事例をまとめる。一律の基準設定は困難も、入れ墨部分を覆うシールの活用などを例示。各施設に工夫を促す。(2日付)

◆オール東北で観光推進 東北観光推進機構とJR東日本が主催する「観光で東北を元気にするシンポジウム」が仙台市内で開かれる。東北6県の知事、推進機構の清野会長、観光庁の田村長官らが出席。観光促進へ「オール東北」で取り組むことで一致。(9日付)

◆2020年に訪日4000万人へ 政府が今後の観光施策の構想「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定。訪日外国人旅行者数を2020年に昨年の約2倍の4千万人、30年に6千万人とする目標を設定。(9日付)

◆日程に“選択肢”旅行意欲は堅調 本社が調べたゴールデンウイークの旅行予約状況。3連休が2回、平日を2日休めば10連休という、選択肢が多い日並び。節約志向はあるものの旅行意欲は堅調とJTB。(16日付)

◆九州観光に深刻な打撃 14日夜、熊本県で起きた地震はゴールデンウイークを控えた九州の観光業に深刻な打撃を与えた。熊本県旅組では県と旅組との協定により、特別な配慮を要する高齢者らを対象に、旅組加盟の宿泊施設に受け入れを始めている。(23日付)

5月

◆管理・仲介業者に登録制 厚労省と観光庁が「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」の第9回会合で、民泊の法整備に向けた制度案の大枠を示す。家主に代行する管理者、民泊サイトを運営する仲介事業者にも登録制を適用する。(1日付)

◆被災地、復興へ動き 熊本地震から1カ月。九州の温泉地などは誘客に向けた対応を協議。旅行業各社は募金やキャンペーンなど、支援策を展開。(14日付)

◆民泊、許可施設は7%のみ 京都市が「民泊施設実態調査」の結果を公表。市内の民泊施設は2702件で、旅館業法上の営業許可を取っている施設は189件と7・0%にとどまった。「宿泊客と周辺住民の安心・安全の観点から問題がある」と同市。(21日付)

◆宿泊施設の容積率緩和へ 政府の観光立国推進閣僚会議は、観光施策の行動計画「観光ビジョン実現プログラム2016」を策定。宿泊施設の整備では、敷地面積に対してこれまでより多くの客室を設置できるように容積率制度を緩和する指針を策定し、夏ごろまでに地方公共団体に通知する。(21日付)

◆「今こそ九州観光」 熊本地震の風評被害を受ける九州7県の市長が東京・丸の内のビジネス街でプロモーションを行う。それぞれの地域の現状と魅力をPR。「来てもらうことが復興につながる」とアピールした。(28日付)

◆新社長に堀坂氏 日本旅行の社長に6月30日付でJR西日本取締役の堀坂明弘氏が就任。(28日付)

6月

◆全国20カ所で講座開催 観光庁が旅館・ホテルの生産性向上を促す事業を行う。近く参加施設を募集し、全国20カ所で実践型の講座、ワークショップを開催。日本旅館協会が選定した旅館・ホテルをモデルに経営改善を後押しするコンサルティング事業も。課題を抽出し、好事例を普及へ。(4日付)

◆九州旅行費用を助成 熊本地震からの観光復興に向けて、観光庁が九州に滞在する旅行商品や宿泊プランが割引料金で提供されるように、九州7県に対して助成費用を交付する。交付額の合計は180億3千万円。熊本県の場合、夏季に最大7割引の商品をつくることが可能。(11日付)

◆違法民泊撲滅へ業界総決起 全旅連が東京で「無許可宿泊施設撲滅総決起大会」を開催。旅館組合員ら約千人が参加。違法民泊の取り締まり強化、新法での民泊営業日数最大30日など8項目のスローガンを採択。国会議員らにアピール。(18日付)

◆九州観光復興へキャンペ 観光業界が「九州観光復興キャンペーン」に乗り出すことを決定。東京で業界団体のトップが集まり、決意表明する。日本旅行業協会(JATA)の田川会長が業界を代表し表明。(18日付)

◆針谷会長を再任 日本旅館協会が通常総会を開き、針谷会長を再任。生産性向上の促進事業、外国人労働者の雇用に関する要望活動などを推進する事業計画を決めた。(25日付)

7月

◆営業日数設定先送り 「民泊サービス」のあり方に関する検討会が民泊の制度設計に関する最終報告書をまとめる。営業の条件とする年間の営業日数制限は「180日以下の範囲内で適切な日数を設定する」の記述にとどめ、この具体化を政府の今後の法案化作業に委ねた。(2日付)

◆黒川、由布院が初の連携 熊本地震からの復興に向けて黒川温泉と由布院温泉が初めて連携、共同事業をスタートさせる。両温泉に連泊する旅行者対象の料金割引を開始。(9日付)

◆「観光産業発展に貢献を」 全国旅行業協会(ANTA)が定時総会と創立50周年記念式典を開催。二階会長は「観光産業の発展に積極的に貢献することが重要」と、会員の活躍に期待。(9日付)

◆再発防止策を検討 旅行業で相次いだ個人情報流出問題で観光庁は、専門家などを集めた旅行業界情報流出事案検討会の初会合を開く。問題点を整理し、当面の再発防止策を近くまとめる。(16日付)

◆市場規模は10兆5910億円 日本生産性本部余暇総研がレジャー白書2016の概要を発表。15年の余暇市場は72兆2990億円で、前年比1・0%減。観光・行楽部門の市場規模は同0・6%増の10兆5910億円。(23日付)

8月

◆「東北で修学旅行を」 全国修学旅行研究協会が東京で「研究大会」。「被災地復興への継続的支援」をテーマに、震災でダメージを受けた東北への修旅と東北からの修旅の事例を発表。内堀福島県知事から同県への旅行を呼び掛けるメッセージも。(6日付)

◆中小の人手不足深刻化 日本商工会議所が中小企業を対象に人手不足の状況を調査。半数以上の企業が「不足している」と回答した。業種別では宿泊・飲食業の割合が最も高く、約8割が回答。(13日付)

◆8国立公園を世界の観光地に 国立公園の魅力を高め、世界的な観光地としてブランド化しようと「国立公園満喫プロジェクト」事業を推進する環境省がこのほど、先行的・集中的に取り組む八つの国立公園を選定。外国人観光客を地方に引き付ける起爆剤に期待も。(20日付)

◆「予約可能日で設定を」 旅館協会が民泊新法に関し、国会議員や関係省庁への要望活動を展開している。上限を設定する年間営業日数の「営業日」の定義について、実際の宿泊日数と位置付けると外部からの把握が困難で不正が起きると、予約を受け付ける「予約可能日」とするよう提言。(27日付)

9月

◆58%増の316億を要求 観光庁が公表した2017年度当初予算の概算要求額。16年度当初予算比58%増の316億2800万円。宿の外客対応などに155億円。(3日付)

◆官民連携で「観光月間」 観光庁と文化庁、スポーツ庁が9月21日から10月22日までの約1カ月間、国内旅行や訪日観光の活性化のための「ジャパン・トラベル・マンス(JTM)」を展開へ。東京オリ・パラを見据え、日本のブランド価値向上目指す。(10日付)

◆民泊の相談窓口設置へ 観光庁は来年度当初予算に「健全な民泊サービスの普及」に関する予算1億3400万円を要求。民泊に関する相談、問い合わせに対応する「ヘルプデスク」を設置する考え。(10日付)

◆人気温泉地は箱根湯本 本社が旅行口コミサイト運営のフォートラベルに呼び掛け、旅好きが選ぶ「にっぽんの温泉」「人気温泉旅館・ホテル」のアンケート調査を実施。このほど結果がまとまった。総合ランキングで温泉地は箱根湯本、旅館・ホテルは加賀屋が1位。(17日付)

◆宿泊キャンセル3万人 旅館協会北海道支部連合会が8月に相次いだ台風、大雨に関する緊急アンケートを実施。8~10月の宿泊キャンセルは回答した145軒分だけで延べ約3万人。道東を中心にキャンセルが発生。(17日付)

◆「2泊3日」を可能に 政府の国家戦略特別区域諮問会議が、国家戦略特区での民泊について、最低宿泊・利用日数を現行の「6泊7日」から「2泊3日」に引き下げることを決める。利用実態を踏まえ、要件を緩和。(24日付)

10月

◆民泊法案は通常国会に 石井国交相が定例会見で、民泊新法の提出時期を2017年の通常国会とする考えを明らかに。旅行業法なども改正へ。(1日付)

◆来場者、過去最高18万5800人 日本観光振興協会と日本旅行業協会(JATA)主催の旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン2016」が東京ビッグサイトで開かれる。4日間の来場者数は過去最高の18万5800人。国際交流の夕べを合わせた総来場者数は20万1千人。(1日付)

◆中国向けビザ、一部緩和 外務省が17日から、中国人に対する査証(ビザ)の発給要件を一部緩和する。緩和の対象は商用目的の旅行者、文化人、知識人の数次ビザと、大学生などの個人観光ビザ。商用目的の旅行者などは有効期限を現行の最長5年から10年に。(8日付)

◆ランオペを規制へ 観光庁がランドオペレーターの規制と、着地型旅行商品を企画、提供しやすくする環境整備の2点を主要課題にした旅行業法の改正を目指している。法改正のあり方を議論する有識者会議を設置。同会議が11月下旬にまとめる中間報告を踏まえ、改正法案を2017年通常国会に提出へ。(15日付)

◆IoT活用しおもてなし 経済産業省が訪日旅行者に対して高度で先進的なサービスを提供できる仕組み「おもてなしプラットフォーム」の構築に向け、「IoT活用おもてなし実証事業」を関東など3地域で始める。2020年の社会実装を目指す。(22日付)

◆外国人の雇用促進へ 宿泊業4団体が外国人材の受け入れ・活用策を探ろうと、合同の会合を開き、「宿泊業外国人労働者雇用促進協議会」を立ち上げる。深刻な人手不足に、団体の枠を越えて連携。(22日付)

11月

◆風評払拭にプロジェクト 10月21日に起きた中部地震で大きな被害を受けた鳥取県。旅館・ホテルの宿泊キャンセルなど深刻な影響が出る中、「がんばろうプロジェクト」がスタート。風評払拭の取り組みを始める。(5日付)

◆初めて2000万人突破 2016年1月から累計の訪日外国人旅行者数が10月30日に2千万人を突破した。国交省、観光庁が速報で発表。年間で2千万人を超えるのは初めて。(5日付)

◆旅行業団体が問題視 観光庁が旅行業法見直しに関する有識者会議の作業部会を開催。第3種旅行業などの業務範囲の拡大、旅行業務取扱管理者の要件緩和について旅行業団体が業務の適正化、消費者保護の観点などから問題点を指摘。規制緩和に慎重な対応を求める。(12日付)

◆基本法の計画改定へ 観光庁が観光立国推進基本法の規定に基づき策定されている観光立国推進基本計画を改定する。現計画の対象期間が2016年度末までのため、新たな計画を策定。16年度中の閣議決定を目指す。東京オリ・パラを見据え、17~20年度の4カ年計画に。(12日付)

◆民泊問題で一斉陳情 旅館協会が民泊新法に関し、国会議員へ一斉陳情。自民、公明両党の約200人に民泊に関わる不正を防止する制度設計などを求める要望書を提出。同協会の政治団体によるパーティーでも国会議員に要望をアピール。(19日付)

◆復興を世界にアピール 東京都などが主催する「東北六魂祭パレード」が20日、東京・虎ノ門ヒルズ前の新虎通りで行われる。東北6県を代表する祭りが集結。六魂祭は東日本大震災の復興祈願を目的に6県の持ち回りで毎年開催。今回、地方創生支援の一環で東京でも行われた。(26日付)

12月

◆地域限定業緩和へ 観光庁の有識者会議「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」の作業部会が中間報告案を了承。旅行業法改正への方向性が示される。着地型旅行を企画・提供しやすい環境づくりに向けた規制緩和で、地域限定旅行業の要件を緩和。ランドオペレーターは登録制の導入を求める。(3日付)

◆環境大臣賞に「玉造」 うるおい日本プロジェクトが主催、環境省と観光庁が後援する「温泉総選挙2016」が今年初めて実施された。温泉地のある市区町村の取り組みを評価するコンテスト。環境大臣賞は「うる肌部門」で1位となった玉造温泉に決定。(3日付)

◆日中の観光交流促進 日本と中国の観光担当大臣の会談が東京都内で行われる。石井国交相と中国の李金早国家旅游局長が観光協力に関する覚書に署名。2017年の日中国交正常化45周年などを契機とした観光交流の拡大で合意した。(3日付)

◆衆院内閣委で可決 カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備を推進する法案が衆院内閣委員会で自民党と日本維新の会などの賛成多数で可決された。自民党などは早期成立を図りたい意向だが、野党の反発も強く、14日までの延長国会の焦点の一つとなりそう。(10日付)

◆旅館、全国に4万661軒 厚生労働省が2015年度の旅館・ホテルの営業施設数と客室数をまとめる。今年3月末現在の旅館軒数は4万661軒で、前年度比1238軒減少。(10日付)

◆草津、貫禄の14年連続1位 本社主催の第30回「にっぽんの温泉100選」で、草津温泉が14年連続となるトップに輝いた。2位別府八湯、3位指宿。2016年度「人気温泉旅館ホテル250選」も決定。(17日付)

 

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