コロナ後を見据えた支援、需要喚起策とは
コロナ禍で影響を大きく受ける観光業界。昨年はGo Toトラベルの実施で需要回復に効果を見せた。今後の支援、需要喚起策、未来を見据えた成長戦略とは。観光業界における政治、行政のトップに集まっていただき、語ってもらった。(5月21日に衆議院第1議員会館で、聞き手は本社取締役編集長・森田淳)
蒲生長官(左)と岡本議員
――コロナ禍で宿泊施設、旅行会社など観光業界の回復が遅れている。業界の現状をどう捉えているか。
蒲生 新型コロナの影響が2年目を迎え、ゴールデンウイーク(GW)も2度目の書き入れ時を失うなど、観光需要が落ち込んでいる。われわれは、Go Toトラベルに登録する事業者に対してウェブアンケートを行うなど、リアルな実態の把握に努めている。状況を言うと、2019年に比べて5月の予約が70%以上減少した事業者は、宿泊事業者で約5割、旅行業者で約8割だった。観光関連業者の厳しい状況が続いており、支援をしっかり検討することがわれわれのミッションであると赤羽一嘉大臣からも言われている。ウェブアンケートなどの内容等を踏まえ、対策をどう取るかは今後考えていく。
蒲生長官
岡本 政府が人流を抑制する政策を用い、コロナに打ち勝とうと進める上で、最も厳しい状況に追い込まれている業界の一つが観光業界である。観光業界の中にもいろいろな業種、業界があり、900万人が働いている。雇用を守ることは政治の最も大きな役割の一つであり、特出しをして支援をしなければならない。業界内でも、特に宿泊業は厳しいと認識している。高級旅館とビジネスホテルでは厳しさは異なり、支援の手段にも多様さが必要だ。交通機関で一番厳しいのは、飛行機の国際線と貸し切りバスだ。貸し切りバスは、地方では修学旅行などが動いているが、東京ではほぼ皆無であり、こちらも支援が必要である。観光業界は、未来の経済、雇用のけん引役になる産業であり、重要視して対策を取り組まなければならない。
岡本議員
蒲生 雇用の維持、事業の継続をどうするかは切迫した課題として捉えている。
岡本 Go Toトラベルで恩恵を受けた旅行会社は、ネットと大手。5~10人ぐらいで何十年も地域で旅行業を営む会社のお客さまの多くは、地元の中小企業の社員旅行だ。今、Go Toトラベルは社員旅行や社員の出張は対象外となっている。Go Toトラベルの元々の目的は業界で働く人を支援することである。利用者が楽しむことも大事だが、最優先であるべき観光業従事者に支援は行き届いておらず、再開時には、工夫をしながら適切な形で行わなければならない。
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