「どうしたら子どもたちは、これを楽しくやれるかな」が大切
子どもたちみんなに共通していえることがあります。何はともあれ楽しいことが一番だということ。勉強にしろ、運動にしろ、楽しいことなら、子どもたちは、大人に「やりなさい」といわれなくても、自分からやり始めるのです。それを続けてやり抜くことで、自信もついていきます。本書では、そんな“仕掛け”をアクティブ・ラーニングの先駆けである沼田 晶弘 先生が、実際のクラスでの取り組みを参考しながら、ごく一般的な家庭で出来る「自主性」「自立性」「自己肯定感」「やる気」を引き出す方法をご紹介しています。
紹介例:ダンシング掃除
【仕掛け】つまらないことはやらない
クラスの掃除では、まずPCから音楽をかけます。そして先生が、子どもたちに指示するのは、サビで踊ること、3曲を流し終えるまでに掃除を終わらせることだけです。ただ、選曲が重要でノリがよかったり、サビの盛り上がりがよかったりする曲だと、子供たちは、ノリノリで掃除に取り組むようになってくれます。
しかし、サビで踊ることで、その分、掃除にかけられる時間が短くなります。その為、汚れた雑巾は2、3人がまとめて洗い場に持っていくようになったり、ほうきを片付けるときも、誰かがまとめて持ってなりました。つまり、子どもたちが自らワザを編み出し、掃除をより効率的に終わらせてくれるようになったのです。
上の写真はダンシング掃除中の様子。選曲はDA PUMPさんの『U.S.A.』
【仕掛け】勉強さんにときめいてもらう
ある日「都道府県の『観光大使』に勝手に就任するから」と子供たちに言いました。「ムリでしょ」 「え?できるの?」と
口々に騒ぎはじめます。食いつきは上々。予想通りの反応です。
「目的のない勉強は楽しくないもの」だから「やってみたい!」と、子供たちから言ってくれるくらい、魅力的な提案をしたり、気になる情報を提供したりしなければいけません。だから「勝手に」をことさらアピールしてみました。そして、誰かがいいました「おもしろいなら、やっちゃおう!」。この「ちょっとおもしろそうじゃない?と思わせることが大切です。予想外のフレーズをいわれたことで、子供たちは勉強さんにときます。そしてパワポも使用、子どもが大人を真似たがるのは、いくつになっても変わらないもの。彼らのやる気の炎は、大きく燃えはじめます。
上の写真は、勝手に観光大使 授業の様子。プレゼンに使用したツールはパワーポイント。
Q.「宿題が出ているのに、先延ばしにしてなかなか取り掛かってくれません。口うるさく言いたくないけど、結局ぎりぎりになって注意してしまいます。いわれる前に自分からやるようになってほしいのですが、、、」
A.「気持ちはそう簡単には変えられないものです。でも自分で、宣言したら約束は破られないものです。僕なら「何時から宿題やるの?」と尋ねます。そして子どもが時間を自分で決めたなら、それ以上はうるさくいいません。そして時間がきたら声をかけます。宿題はやりたくないけど、自分でした約束を守らないのは、みっともない、だからやる。子ども自身に宣言してもらうのが一番です。」
Q.「ほめて伸ばすということが、大切なのはわかっています。でもいざほめようとすると、どうゆう風にほめればいいのかわかりません。どうすればいいのでしょうか?」
A.「褒めることは大事です。でも本音では「たいしてすごくないな」と思うことまで、ほめていませんか?それではせっかくの褒め言葉も、お子さんの心には響きません。子どもは大人を見抜くものです。見ていてくれた。気づいてくれた。認めてくれた。その実感がお子さんの中にあれば、とてもシンプルな褒め言葉でも、十分に心に響きます。お子さんを褒めるのに、テクニックなど無用なのです。」
価格 :1,400円(税抜)
ページ数:255ページ
著者名 :沼田 晶弘(ぬまた あきひろ)
紹介URL:http://www.asa21.com/book/b383433.html
ISBN :9784866671031
【目次】
プロローグ
1章 “自分から勉強をする”ようになる「あの手」
2章 ついつい“夢中になって”続けてしまう「この手」
3章 子どもが“もっと伸びる”褒め方「他人の手」
4章 なんでも“やり抜く力”をつける「神の手」
5章 子どもと“しっかり向き合っていく”ための「あらゆる手」
エピローグ
著者プロフィ―ル
国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭、学校図書生活科教科書著者。1975年東京生まれ。東京学芸
大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、アメリカ・インディアナ州マンシー市
名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士を修了後、同大学職員等を経て、2006年から東京学芸大学附属世田谷小学校へ。児童の自主性・自立性を引き出す、斬新でユニークな授業はアクティブ・ラーニングの先駆けといわれ、数多くのメディアに取り上げられている。