日本を訪れるカナダ人旅行者数は、2013年に震災以前のレベルに回復して以降順調に増加し、15年には初めて20万人を超え、前年比26・5%増の23万1千人となった。16年も10月までの累計ですでに22万5千人に達し、昨年15年の1年間と肩を並べる数値となっている。昨年初めて100万人を超えた隣国・米国からの訪日旅行者数と比較すると少ないように見えるが、米国は人口が3億1500万人もの規模である一方、カナダはわずか3500万人なので、人口に対する訪日者数は決して低いわけではない。
訪日カナダ人数の増加の背景には、日本車のほか、日本食やアニメなどをはじめとした日本のコンテンツの人気が浸透していることもあるが、カナダと日本を結ぶ航空路線の拡充も大きい。エアカナダは、17年6月からバンクーバー―名古屋便を就航させることを発表した(運航は子会社のエアカナダルージュ)。季節運航ではあるが、名古屋と北米を結ぶ数少ない貴重なフライトの一つとなるだろう。
10月21~23日、モントリオールで開催された、カナダ最大の一般消費者向け旅行見本市「Salon International Tourisme Voyages(SITV)」にVJ(ビジット・ジャパン)ブースを出展した。
会場内に設置された多くのセミナールームでは、在ケベック州の旅行会社が自社のツアー商品を来場者にPRしており、会期中はそこでさまざまなツアーの説明会が開催されていた。例年ここでPRされるツアーは、カナダ人に人気のメキシコ、カリブ海方面や欧州方面ばかりであったが、今年は大きな変化が見られた。
訪日ツアーの説明会を、今年は6社が延べ7回実施しており、説明会にあわせて幟(のぼり)や日本の風景写真パネルなどが飾られるなど、これまでPRの対象にされていなかった訪日旅行が取り上げられるようになった。ようやく旅行会社の間でも「訪日ツアーは売れる」と認識されつつあるようで、VJブースにも仲間ができたような気分であった。
旅行会社、航空会社へのヒアリング調査でも、短期・中期的には訪日旅行はまだまだ伸びるとの回答がほとんどであり、「好調であった15年よりさらに多く、前年比10~50%ほど多く送客できている」とのコメントも多い。
訪日カナダ人数は、欧米諸国の中では決して少なくない数である。カナダ人の常としてあまり目立たず、米国人などの陰に隠れがちであるが、寛容でおおらかなカナダ人は、受け入れしやすい国民性であるとも言える。自然豊かな国で育っているせいか、旅行先でも自然に親しむことを好むカナダ人旅行者は、日本の地方にもうまく溶けこむという観点で重要なお客である。今後ますます増加するであろうカナダ人の訪日誘客に関心があれば、ぜひともJNTOトロント事務所にご相談いただければと思う。