これをお読みの旅館では、まずほとんどがホームページ(HP)を備えていることと思う。ただしそれがちゃんと効果を発揮していると言えるだろうか。今はこうしたものをじっくり見直す良い機会であり、ついでに言えばコロナ禍で「自館のありよう」と「伝え方」を考え直す良い機会でもある。HPを含めたWeb発信やWebコミュニケーションのあり方を、「今のままで本当にいいのかな?」という目でもう一度見直してみることをおすすめしたい。
見るべきポイントは、サイト構成などの技術的な側面と、コンテンツ(内容)表現に大別できよう。今回はこのうち、前者のことについて、主な着眼点をいくつか挙げてみたい。
(1)検索エンジン対策
まず、HPのタイトルやタグの記述などはSEO(検索エンジン最適化)のため適切に設定されているか?(これについて詳しいことは省く)。
近年ではGoogle検索エンジンへの対応が重要度を増している。このあたりのことについては、コレリィアンドアトラクトの松本慶大氏による本紙コラム「【直販を増やす】デジタルマーケティングトレンド」において、「ローカルSEO」「マップとの連動」あるいは「Googleローカルパック」「Google Travel」の動向など、詳しく解説されているので、過去記事を研究していただくとよいと思う。ちなみにこれを読むと、Googleの旅行ビジネス進出の戦略意図なども透けて見える。
(2)アクセス解析
自社HPを訪れる人の数、訪れる人が検索に使っているキーワード、またその際の入り口となっているページ、よく見られているページ、サイト内の平均滞在時間や直帰率などのデータを見て、それに基づき必要な改善を検討したい。これらのうちおおよそのことは、「Googleアナリティクス」により無料で見ることができる。HPを扱う者にとっては当たり前すぎるくらいの知識だが、問題はそれができることが分かっていても、見られていない、生かされていないことにある。
(3)Web広告の検証
近頃、大型の旅館などでは、リスティングやターゲティングなどのWeb広告を活用するところも増えているようだが、それらの効果検証はされているだろうか?…。せっかく自社サイトへ引き込んだのに、広告にうたっているのとちぐはぐな内容のページで失望させ、追い返してしまっているようなケースもままある。広告費の無駄遣いを避ける意味でも、受け皿となる「専用のランディング(着地)ページ」をしっかり作ることが大事である。
(4)サイト内の管理
意外に盲点となっているのが、自社サイト内のリンクや情報の管理だ。リンクされているべき各ページが正しくつながれているか? 記載情報がアップデートされているか?…。期限を1カ月も過ぎた企画情報が表示されたままになっているようなケースも多い。月に一度は点検をおすすめしたい。またプラン商品がサイトの中で「孤立無援」となっていないか?…。思いや期待をこめて打ち出したはずのプランが、何の援護射撃(HP本体でのアピールなど)もないまま、予約エンジンの中で他のプランに埋もれてひっそり眠っているだけ、ということがしばしばある。
(リョケン代表取締役社長)