【体験型観光が日本を変える 136】悪化する地球環境と人間 体験教育企画社長 藤澤安良


 台風15号は千葉県南部を中心に甚大な被害をもたらした。1週間を経過しても今なお停電の家屋が9万世帯にも及んでいる。近代的な設備のオール電化などとその便利さを売り物にした家屋は電力なくては無力となる。

 乱立気味の電力販売会社が顧客の奪い合いをする方にのみ力点が置かれており、災害や防災対策を万全にすべきである。今回の長引く停電がまさか想定外であった、などと言われても、それはもはや怠慢だったといえる。
 第4次安倍内閣の第2次内閣改造が行われ、38歳の小泉進次郞氏が環境大臣となった。自然災害の頻度が高まり、かつ大きくなっている。原因として、地球温暖化と言われて久しい。自然エネルギーやCO2削減などの対策に取り組むことが不可欠である。

 目先や自国の国益しか考えず、その意識の薄い大国や隣国にも働きかけ、全地球規模で環境保全に取り組んでほしい。

 自然がおかしいとか変になってきているという人は多い。しかし、おかしいのはその自然に大きな負荷と影響を与え続けている人間である。あれだけマスコミに取り上げられているにも関わらず、あおり運転やドライブ中の車のトラブルが続出している。エアガンや長い棒状の物まで出てくる始末だ。「かっとなってやった」など、何とも勝手な動機である。

 「酒を飲んでよく覚えていない」「酔った勢い」などと、分別があるべき大人の言い分としてはおかしい。また、わが子を虐待し死に至らしめる大人が存在することもおかしい。動物でもその多くは子供を守るために親がいる。動物以下の人間が増えているのだろうか。心配である。

 3連休に高速バスに乗った。計39キロもの渋滞に遭い信州から新宿まで6時間半もかかった。車中から道路を走る車がよく見えるが、わが先にと先を急いだり、きわどい車線変更であったり、危ない運転をする人が少なくなかった。追突事故も2件、路肩に壊れた車が置かれていた。どうも、わが国には「他人を思いやり、譲り合う」という精神が退化してきているのではと思わずにはいられない。

 人間力アップの方法は、バイブル本でもハウツービデオでもなく、メールやラインでもない。生の人間に出会って直接交流し、コミュニケーションすることから学ぶしかない。その学びの機会がきわめて少なくなっている。話す相手は、家族や友人に限られつつある。好き嫌いや、気が合うウマが合う人に限定し、狭い範囲での相手に絞られている。

 「旅は道連れ世は情け、袖すり合うも多少の縁」などと行きずりの人と会話をした時代から、今は袖すり合えば因縁をつけられトラブルになる。自分に都合のよい人物以外とはコミュニケーションがないことになる。自分が傷つかないリスクから逃げた場面では学べない。

 体験プログラムによる交流は、人間関係構築力を育成する有効な手段である。自分が仲間を選べない学校でも、職場組織でもチームビルディングにも教育効果が高い。人間力退化に歯止めをかけなければ未来は危うい。

 
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