【交通トレンド分析191】新大阪駅、伊丹空港などでタクシーに行列 鳥海高太朗


 外国人観光客(インバウンド)が増え、国内旅行者、さらには会社の出張もほぼ全面回復のなかで、私が最近特に感じるのが「空車」のタクシーがつかまらないケースが時々ある。普段は東京都内を拠点に動いているが、平日の夕方をはじめ、朝も時々あるが、コロナ前には少し待てば都心の主要な場所であれば空車を見つけることができたが、最近では見つけることができず、かなり待たなければならないことが増えている。

 最近ではタクシー配車アプリ「GO」「S.RIDE」などを使って気軽に呼べるようになったので、時間が迫っている時はこれらのアプリを使って、配車の手数料はかかるが(東京都内でGOを使った場合は400円の追加)、私も時々利用している。それでも人間の心理としては、空車のタクシーに乗りたいと思う人も多いだろう。私もその1人である。

 コロナ禍でタクシーの運転手が減ったという話を特に地方へ出かけた際にタクシー運転手からよく聞く。コロナ禍を機に高齢者のタクシードライバーの仕事から引退した人も多いとのことだ。

 私が旅行で年間何回か訪れる石垣島でもコロナ前は、夜の繁華街周辺はタクシーだらけだったが、この1年はタクシーが繁華街にあふれることを見る機会が減った。コロナ禍で大打撃を受けたことで引退だけでなく、転職した運転手も多く、タクシーはあるけど運転手がいないというタクシー会社も多いとのことだ。需要が増えたが供給が追いついていない状況だ。

 私は最近、大阪へ仕事で行く機会が増えており、時間がない時に新大阪駅や伊丹空港から大阪市内までタクシーを利用する機会もあるが、最近はタクシー乗り場の長い行列に並ぶことが多い。4月のある平日の夕方、新大阪駅2階のタクシー乗り場ではタクシーに乗車するまで約15分近く待った。タクシー自体はいるが、乗車に時間がかかっていることもあるが、一番驚いたのは4月23日(日)の夜に羽田空港から最終便で伊丹空港に到着した後だった。大阪市内および兵庫県内へ向かうタクシー乗り場には長い行列ができており、時々空車のタクシーが来たが、30分以上は待つことになりそうで急きょ大阪モノレールに切り替えた(混んでいるのは夜だけのようだが)。空港でタクシーに乗れずに公共交通機関に切り替えたのは初めての経験だった。

 乗り場の工夫、空車がいない時のタクシー会社内での情報共有などが求められるが、東京も含めて全国各地でさらにタクシーがつかまりにくくなりそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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