日本では「Suica」や「PASMO」などのICカード乗車券が多くの鉄道、バスなどで利用でき、さらには日常生活でもコンビニエンスストアやスーパー、自動販売機などでも使える。今、世界各国を旅行している人にとってありがたい存在なのが「タッチ決済」での鉄道、バスへの乗車だ。「コンタクトレス決済」という言葉も使われているが、クレジットカードを非接触でカードを決済端末に近づけるだけで決済できる方式で、最近ではクレジットカードが利用できるお店でも対応のクレジットカード(VISA、JCB、アメックスなど)でタッチ決済を使う機会が増えている人もいるだろう。このタッチ決済での鉄道利用では、海外で私も何度か利用しており非常に便利である。
私が最初に使ったのは既にコロナ前で5年以上前になるがロンドンの地下鉄。以前は日本のSuicaに近いICカード「Oyster Card(オイスターカード)」を購入する必要があったが、5年以上前からは私の場合アメックスカードがいち早くタッチ決済に対応していたことで、クレジットカードを改札口の読み取り機にタッチするだけで地下鉄に乗れるようになった。事前に切符やICカードを入手する必要がなくなり、本当に便利になった。
ニューヨークでも地下鉄に乗車する際には以前は「Metro Card(メトロカード)」の購入が必須であったが、今は「OMNY(オムニー)」というタッチ決済の仕組みで、日本発行のクレジットカードでもVISA、JCB、アメックスなどのタッチ決済ができるクレジットカードでそのまま利用可能で、ニューヨークの地下鉄は距離に関係なく一律2・75USドル(約360円)がカード決済される。シンガポールの地下鉄でも同様に使えるが、外国人観光客にとってはスムーズに電車に乗れて便利だ。スマートフォンにクレジットカード情報を「Apple Pay」「Google Pay」へ登録すれば、スマートフォンをタッチしての乗車も可能だ。
日本でも実証実験という形が中心であるが、南海電鉄や福岡市地下鉄などで「タッチ決済」が使えるほか、高速バスや空港バスなどでも一部で使える。日本国内では、SuicaやPASMOなどがあるので利用する機会が少ないが、外国人観光客にとってはタッチ決済で日本の公共交通機関をもっと利用できるようになれば、より利便性は向上する。ICカード乗車券を買わなくても済む。日本は発展途上ではあるが、クレジットカードのタッチ決済をもっと使えるようになることでインバウンドの満足度も向上するだろう。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)