【交通トレンド分析114】「のぞみ」でテレワークできる専用車両導入 鳥海高太朗


 コロナ禍でテレワークが増えたことで、ウェブ会議も日常化している中、待ちに待ったサービスがJR東海から発表された。これまで実証実験のような形でテストケースはあったが、東海道新幹線「のぞみ」において車内でノートパソコンなどのモバイル端末を使って自分の席で気兼ねなくウェブ会議などができる車両が設定されることになった。

 具体的には「のぞみ」の7号車を専用車両「S Work車両」としてJR東海の「エクスプレス予約」「スマートEX」を利用できる人限定の専用商品として発売される。価格も追加料金はなく、現行の「エクスプレス予約」「スマートEX」の普通車指定席と同じ料金設定となる。どうしても出張などで移動中の場合には、自分の座席で声を出さずにウェブ会議に参加するか、もしくはデッキまで移動してスマートフォンもしくはノートパソコンで会話するなど不便だったが、今回の専用車両の導入によって自分の席でウェブ会議に参加できるのはありがたい。やはりデッキは車内に比べても音も騒がしい点から見ても、マスク着用にはなるが、車内で声が出せることによるメリットが大きい。

 JR東海から発表されたニュースリリースには書かれていないが、専用車両に限って携帯電話の通話も可能となれば、筆者は間違いなくこの車両を指定することになるだろう。実際に移動中に電話が鳴ることは少ないが、どうしても仕事の電話が入ることもあり、自分の席から動かずに応答できるのであれば新幹線に乗車中も安心だ。

 さらに東海道新幹線の新型車両である「N700S」では、無料Wi―Fiサービスにおいて現在の2倍の通信容量を備えた新しいWi―Fiサービス「S Wi―Fi for Biz」のサービスを10月以降に順次開始するほか、従来はN700Sの7号車と8号車の間にある喫煙ルームを改造し、「ビジネスブース」として利用できるように来年春以降試験導入することも発表された。このような形で「のぞみ」を利用する際には、7号車を予約する出張者が増えることになりそうだ。まずは10月にスタートして、どのくらいの利用者数になるのかが注目されることになるが、利用者が好調であれば、さらにもう1両を増やしたり、3両設定されているグリーン車の1両を「S Work車両」にしたり、また自由席で1両設定しても面白いだろう。

 まさに日本の大動脈である東京―新大阪間の移動車両がテレワーク場所となり、移動中のウェブ会議など仕事の効率性がより向上することになりそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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