ホテル・旅館の人手不足「過去最高」
前年比5ポイント増の67%、生衛業全体は減に
日本政策金融公庫は昨年12月、ホテル・旅館、飲食、美容など生活衛生関係営業の雇用動向に関するアンケート調査を行った。従業者の過不足感を聞いたところ、ホテル・旅館で「不足」と回答した割合が67.0%と、調査開始以来の最高となった(図1)。
前年調査比で4.9ポイントの増加。このほか「適正」が32.4%、「過剰」が0.5%だった。
不足の割合は生活衛生営業全体で37.2%と、同2.6ポイント減少。9の業種別ではホテル・旅館が突出して多く、2位の飲食の40.5%を大きく引き離した。
ホテル・旅館で不足する従業者の雇用形態は、「非正社員」と回答した割合が51.6%とほぼ半数。以下、「正社員・非正社員の両方」が32.0%、「正社員」が16.4%だった(図2)。
ホテル・旅館の「従業者の不足への対応」は(複数回答)、「従業者の多能化、兼任化」が57.1%とトップで、「従業者の新規採用」(45.4%)、「提供商品、サービスの変更」(32.8%)が続く(図3)。
ホテル・旅館の「従業者の採用に向けた効果的な取り組み」(三つまでの複数回答)は「ハローワークへの求人」(40.0%)、「従業者の定着化に向けた効果的な取り組み」(同)は「賃金の引き上げ」(52.2%)がそれぞれトップだった(図4、図5)。
調査は12月上旬、訪問面接方式で実施。ホテル・旅館は182企業が回答した。
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従業者の採用に向けたホテル・旅館の主な取り組み事例は次の通り。
「日本語学校を定期的に訪問することで、留学生の外国人アルバイトが確保できている」(宮城県)。
「地元の高校や専門学校の学生に、職場見学を通じて働くイメージを持ってもらい、その後の応募、採用につなげている」(福島県)。
「外国人専門の派遣会社を通じた採用を行っており、インバウンドの宿泊対応ができるようになった」(埼玉県)。
「定期的に無料の求人サイトを活用しており、アルバイト等の短時間勤務者を効率的に採用できている」(石川県)。
「全旅連の求人サイト『旅館・ホテルでおしごと.net』を活用することで、応募を確保している」(奈良県)。
「組合を通じた学生等のインターンシップ受け入れや、外国人労働者の正社員化により、人材を確保している」(大分県)。
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