観光庁が2月28日に発表した宿泊旅行統計調査の2018年の結果(速報値)を基に、東北6県の宿泊施設における宿泊者数の動向を見てみよう。外国人延べ宿泊者数は東日本大震災前の10年に比べて約2.4倍に増加した。一方で、日本人を含めた延べ宿泊者数全体では、10年比の伸び率が全国水準を下回ったほか、観光客中心の宿泊施設(観光目的の宿泊者が50%以上)に限ると、震災前の水準には回復していない。
統計の調査手法に変更があったため、震災前の10年の実績値と比較できる従業者数10人以上の宿泊施設を対象とする。
東北6県の18年延べ宿泊者数は3184万5千人泊。17年比で1.4%減、10年比では5.3%増となった。全国合計が17年比0.2%増、10年比24.1%増だったので、全国水準の伸び率には届かなかった。県別では、秋田県は10年の実績値をこれまでに一度も超えてない。
東北6県の18年外国人延べ宿泊者数は121万4千人泊。17年比で25.6%増、10年比で140.3%増となった。政府が目標とする150万人泊が視野に入ってきた。県別に10年比を見ると、青森県が390.3%増、岩手県が181.3%増、宮城県が116.0%増、秋田県が58.2%増、山形県が136.9%増、福島県が37.9%増となった。
東北6県の18年延べ宿泊者数全体に対する外国人延べ宿泊者数の構成比は、10年比で2.1ポイント上昇して3.8%だったが、全国の18.3%に比べると低い。また、全国の18年外国人延べ宿泊者数に東北6県が占める割合は1.5%だった。
一方で、東北6県の従業者数10人以上の宿泊施設のうち観光客中心の宿泊施設に限ると、状況は異なってくる。18年延べ宿泊者数は1億4727万人泊で、17年比で0.3%減、10年比で14.8%減となった。
観光客中心の宿泊施設の18年延べ宿泊者数について、県別の10年比を見ると、青森県は18.1%増だが、岩手県は19.0%減、宮城県は13.9%減、秋田県は26.1%減、山形県は21.5%減、福島県は14.8%減だった。このうち宮城、秋田、山形、福島の4県は10年の実績値をこれまでに一度も超えていない。
観光客中心の宿泊施設の18年の客室稼働率は、東北6県で10年比1.1ポイント減の50.5%だった。全国の同7.5ポイント増の65.0%に比べて低い。県別では、青森県が同3.3ポイント増の57.8%、岩手県が同1.2ポイント減の48.1%、宮城県が同2.0ポイント減の54.4%、秋田県が同10.1ポイント減の42.7%、山形県が同3.3ポイント増の48.1%、福島県が同1.1ポイント減の49.9%と地域差が見られる。
観光客中心の宿泊施設でも外国人の宿泊は増加している。18年外国人延べ宿泊者数は63万8千人泊で、17年比で20.2%増、10年比で108.8%増となった。県別の10年比を見ると、青森県は453.9%増、岩手県は140.7%増、宮城県は44.0%増、秋田県は43.7%増、山形県は132.9%増、福島県は4.7%増だった。