関西国際空港、大阪国際空港(伊丹)、神戸空港の3空港の運営が関西エアポート株式会社を主とする企業連合に決まり、2018年4月から関西3空港の一体運営が開始された。現在、発着枠をはじめとする空港の規制緩和が注目されており、また利用者のニーズを捉えた運用が検討されている。
昨年9月に関西国際空港は台風21号の甚大な被害を受け、空港機能を果たせなくなった。滑走路が冠水し、連絡橋にタンカーが衝突したことで交通網が途絶えただけでなく、その事故現場の映像が人々に衝撃を与えた。また、空港機能で重要な電源施設が地下に位置していることは災害復旧に時間を要する原因となった。日頃の災害避難訓練や緊急時の連絡体制がいかに重要であるかが再認識されている。
関西国際空港は復旧後、順調に利用者数が増え2018年の利用状況は前年比3%増の2894万人と過去最高を記録した。大阪国際空港も4%増の1618万人、神戸空港は2%増の318万人が利用したという。
関西国際空港の外国人旅客数は過去最高の7%増の1528万人でインバウンド需要は旺盛であったといえる。
空港を利用する観光客は、観光地をはじめとしてそれぞれの目的地まで移動し、食事をして宿泊することでその地域に経済的な恩恵をもたらす。インバウンドが関西の消費動向を定め、地域住民の経済活動に影響を及ぼすことは明らかである。
大阪国際空港や神戸空港も運用の緩和が求められているが、規制枠が設けられている。24時間運用可能な空港である関西国際空港は、施設の整備と航空会社の需要があればこれからも航空機の運航数を増やし、利用者が増えることが予想できる。
航空機利用者は、目的地を決定すれば、航空機の便数や目的地から空港までのアクセス手段を調べ、選択する。その行程に問題がなければ、リピーターとして訪れる機会が増えるだろう。航空機の運用枠は旅行者の安心感につながる一つの要素ではなかろうか。
(NPO・シニアマイスターネットワーク会員、和歌山大学大学院観光学研究科博士後期課程、アシストアーク株式会社代表取締役 加里本敏恵)