「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2017」(以下、アクション・プログラム2017)が観光立国推進閣僚会議で決定され、「2020年オリンピック・パラリンピック」を見据えた観光振興に加えて、「インバウンドの飛躍的拡大」に向けた取り組みも注目されている。2020年訪日外国人旅行者数4千万人、訪日外国人旅行消費額8兆円等の目標の確実な達成に向け動き出している。
まず、インバウンドの飛躍拡大のためには、ビザの要件緩和や免税範囲の拡大、空港や港湾の整備、訪日プロモーションなどの施策があり、外国人旅行者を招くルートをどのように創るか?にフォーカスが当たっているようだ。当然、外的環境を整備することは大前提だが、内的環境や国内の受け入れ教育については、後手に回っているように感じる。
次に、外国人旅行者にとって「日本の好印象」を決める要素として、長時間滞在する宿泊施設であるホテルや旅館がいかに快適であり、かつ、「OMOTENASHI」のそれぞれの解釈による事前期待値をどれだけ上回ったのか?などがキーとなると思われる。さまざまな形態、特徴を生かした宿泊施設に対して、外国人旅行者が何を期待するかを探っていく必要があり、宿泊業におけるプロサービスの人財確保も必須である。しかしながら、国内における労働力確保、サービス人財の確保が難航しており、そこに加えて、最も離職率の高い業界(厚生労働省HP新規大卒就職者の産業分類別就職3年後の離職率参照)であることも課題である。
よって、宿泊業・飲食サービス業スタッフのレジリエンス(精神的回復力、折れない心)を鍛えるための教育などと共に、Noと言えず受容し過ぎる傾向があるタイプに対して、周囲からのストレスケアが必要である。多種多様な価値観であふれる世界を見据え、本質的な業界における高いレジリエンスを発揮できるよう備えていく必要があると考える。
(NPO・シニアマイスターネットワーク会員 MIPI心の印象プロデュース研究所代表、田栗万悠)