コロナ禍での営業を続けて1年半以上過ぎたが、これから先、何年続くのだろうと不安になることがある。2021年の夏も緊急事態宣言下で迎えている。自分自身に「明けない夜はないのだから」と、言い聞かせながら、観光需要が業界全体に早期に広がることを望んでいる。
また、コロナ禍でやれること、設備投資(リニューアル等)をするなり、繁忙期が必ず来るので準備をするなりと、自分自身を奮い立たせている。そして、なにより休館することによって、お客さまに忘れられてしまうことがあってはならない。
そんな状況の中で異業種との連携を企画することも考えている。とにかく裾野を広げることが大切だと思う。
宿泊業でももちろん、「事業としての継続」が重要な前提である。そして、頑張った人、頑張って働いた人が評価されることが、企業の存続につながる。さまざまなステークホルダーのためにも生き残ることが必要なのである。生き残るために情報の共有と、知恵を出し合うこと。良い機会である。一つ一つ考え方を変えて見直すことが必須だ。
帝国データバンクによると今年上半期のホテル旅館経営業者の倒産は件数こそ前年同期より減少しているものの、負債総額は1218億3500万円で、前年同期比127%増と倍増以上である。
また倒産以外の休廃業や解散のホテル旅館の数は前年同期比55・2%増と大きく増加し経営体力が限界に達していることは間違いない。
コロナ禍で2度目の夏にあって、飲食業と宿泊業だけは取り残されている感さえある。この2業種の中でも宿泊業に対しては、直接的な補助が少ないのではないだろうか。
私は、東京都の組合における活動においても、固定資産税の減免をはじめ、資金繰りを改善するための陳情をし続けるつもりだ。
オリンピック・パラリンピックを開催した東京は、日本、そして世界有数の観光地なのである。その街でこれからも事業を継続すること、お客さまをお迎えすることが何より大切だと考えている。
(委員・森永鈴江=東京都豊島区巣鴨・ホテルD CUBE)
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【委員会より】
無観客で開催されたオリ・パラですが、世界中の人々に日本を意識してもらう機会にはなったことでしょう。本来であれば、インバウンドのお客さまで日本は大にぎわいだったはずです。その分、日本へ向かう世界の人々のエネルギーは蓄積されています。それは、TVで観戦をしていた日本人にとっても同じこと。
このエネルギーを受け止めるだけのパワーを宿泊施設は持ち続けなければなりません。そのための支援はまだまだ必要だと考えます。