産官学が連携し、感染の収束を
2020年初めに発生した新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴う国内外の移動制限や営業の自粛、訪日外国人観光客によるインバウンド需要の消失等は、観光業や宿泊業にとって未曾有(みぞう)の影響をもたらし、皆さまも大変厳しい状況に置かれていることと思う。
こうした苦しい状況の中にも関わらず、観光業や宿泊業の方々には感染症予防にかかるガイドラインの策定や「新たな生活様式」への対応、宿泊者への新型コロナウイルスに関する情報提供など、多大なご尽力とご協力をいただいていることに感謝申し上げたい。
政府が進めていたGo Toトラベル事業では、感染拡大防止に当たっての「参加条件」の順守、感染拡大予防ガイドラインの実施の徹底、「新しい旅のエチケット」の利用者への周知などがとられた。
ウィズコロナ・アフターコロナ時代においては、旅行者に安心、安全な旅を楽しんでいただけるようこれらの取り組みを引き続き行っていくことが必要ではないかと思う。
観光業界におかれては、すでに「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン」を作成いただいており、このガイドラインに沿った適切な感染予防対策を十分に講じていただきつつ、旅行業界の社会経済活動の充実を図っていただくことが必要であると考える。
観光は、成長戦略の柱、地方創生の切り札である。これまで日本においては、観光消費額の8割を占める日本人の国内旅行に加え、世界的にも著しい成長分野であるインバウンドを取り込むことによって、観光立国の実現に取り組んできた。
現在は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、観光業界は厳しい状況だが、自然、食、伝統文化など日本各地の観光資源の魅力が失われたものではない。
今後、新型コロナウイルス感染症の収束後、再び観光を成長軌道に乗せ、観光立国を実現するよう、産官学が連携し、国・地域ごとの感染収束を十分に見極めつつインバウンドの回復を図るなどが重要であると考える。
観光業界の皆さまにおいては、長期にわたる新型コロナウイルス感染症の影響を受けており、非常に大変な立場かと思う。ただし、そういう時代だからこそ、皆さま方の力を結束することで、必ずこの苦境を乗り越えられるはずだ。
新型コロナウイルスに打ち勝ち長年にわたりに育んでこられた、「おもてなしの心」をもって、再び観光業・宿泊業が活況を取り戻すことを大変期待申し上げたい。