2021年の夏が終わろうとしている。今夏は非常に厳しい夏となってしまった。
当初、8月7日(土)~14日(土)の3連休とお盆休みのある同日程を中心に予約状況は堅調であったが、第5波とも呼ばれる全国での感染者の拡大や8月初旬に発信されたお盆の帰省・旅行の中止の呼びかけなどで急速に冷え込んでしまった。加えて、日本全体を覆った線状降水帯による大雨で、追い打ちをかけるように新規予約が止まり、キャンセルが相次ぐ状況になってしまった。
結果として、コロナ前水準はおろか、(すでにコロナの影響で売り上げがダウンしていた)昨年すらも下回る施設も多数出る想定である。また、一縷(いちる)の望みであった県民キャンペーンも相次ぎ停止を余儀なくされ、旅行業界全体が停滞ムードに包まれている。
そして、現状では大きな状況の改善が見られないままに、秋に突入しようとしている。Go Toトラベルキャンペーンが本格化し始めた去年とは真逆の状況になりつつある。
状況は刻一刻と変化するので、先々のことは予測が立てにくいが、直近となる9月は確実に厳しい月になると予想される。3連休にだけ注意を払いながら、後の全ての日程は集客優先策が望まれる。また、雇用調整助成金の延長に伴い、休業なども再び視野に入れてサバイブすることが大事である。
全体的にはかなり悲観的な様相であるが、一方ではワクチン接種は着実に進み、現時点で2回目接種を終えた方は5千万人を超え、そのうち高齢者は3千万人を超えている。こと高齢者に限れば、3600万人の人口のうち83%が接種を終えているのでかなりの数となっている。したがって、9月、10月対策として、シニア集客を狙うのは一つの作戦であると言える。そもそもシニア層は秋の行楽シーズンに旅行をする層であるので、ターゲット的にはマッチング率は高いはずである。
とはいえ、旅行には世論やムードといった要素が大きく関わってくるので、欧米のような「ウィズコロナ」戦略に転換しない限りは本格的な復調とはならないであろう。その時が待たれる。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)