ラグビーワールドカップが幕を下ろした。日本代表の躍進もあり、日本でも連日報道がなされ、大きな盛り上がりを見せていた。宿泊業界においても、出場国の海外ゲストが開催県を中心に増えるなどの恩恵があった。
もう一つの傾向は、開催県のみならず、近県の温泉地などにも普段では決して見かけないような国のゲストの宿泊があり、実感として、その効果を感じられる機会があった。やはり、ラグビーの試合のみを観戦して帰国するのではなく、せっかく日本に行くのだから、できる限り観光をし、周遊していこうというのが心情のようである。
このラグビーワールドカップの傾向は、恐らく東京オリンピック・パラリンピックでも起こり得ると想定される。しかも、ラグビーワールドカップよりも多くの来日者が見込まれているので、よりその効果が大きいと想定される。
従って、備えあれば憂いなしと心得て、東京オリンピックを東京のみのイベントと捉えずに、自施設やエリアにも波及する可能性があるものとしてWEBの在庫の延長やプラン作り、価格コントロール、チャネルコントロールを検討しておいた方がよいと思われる。
現在のオリンピック期間の東京エリアの宿泊施設の価格を検索してもらえれば分かるが、価格が高騰している。従って、例えば1泊はオリンピック観戦のために東京に宿泊するが、それ以外の旅程は、近隣温泉地あるいは、せっかく日本に来たのだから、別のエリアでの観光を考える海外ゲストが増えることも大いに考え得る。
また、現在起きている現象としては、オリンピック準備~開催期間にかけて、東京では開催できない学会やイベントが他のエリアで開催されるという動きがあり、そこでの宿泊需要を生み出している。これも一つの波及効果である。
従って、これから一層オリンピック・パラリンピックに向けての動きが加速していくと思われるので、普段よりも先々の予約状況などにも細心の注意を払っていく必要があると想定される。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)