東京モーターショーが久しぶりに来場者数100万人を突破したというニュースがあった。今回大幅に刷新された展示内容の大きなテーマの一つが「体験型コンテンツ」であった。やはり、体験型コンテンツ重視の潮流は全産業的なことと思われる。本コラムでも、4年ほど前に一度述べたが、現在の体験型コンテンツと今後の在り方について改めて考えてみたい。
まず、現在の状況であるが、情報配信という意味においては、残念ながら4年前とあまり大きな変化はなく、やはり一部の施設が情報配信をしているという印象である。
だが、地域の大型施設を中心に体験型コンテンツの情報配信をするという流れは確実に強まっており、その点が集客要素になると浸透していけば、体験型コンテンツを重要視する流れは強まると想定される。
大手OTAなども体験型コンテンツ、いわゆる「タビナカ」に注目し、多額の投資を行っている状況である。ただ、一般の旅行者目線でいうと、ポータルサイトはあらゆる情報が網羅できているという利点がある半面、どのコンテンツが有効なのかを探し出すのが大変という側面がある。海外ゲストに着物体験をという思いから着物体験コンテンツが乱立してしまい、どの着物体験コンテンツが有効なのか分かりにくくなってしまったエリアもある。そのような中で、地元のあらゆる情報が集まってくる宿泊施設が有益だと思うコンテンツをしっかり紹介することは旅行者にとっても大きなメリットがあると思われる。
これからますます、体験型コンテンツは重要な要素になってくるであろう。今でも、その宿に行きたいという動機のみで、その地域に足を運ぶ人よりも、「観光名所を見たい、あの写真を撮りたい、この体験をしたい」という動機でそのエリアに行く人が多い。加えて、今ではウェブやSNSを駆使すれば、世界中の人にその情報を届けることができるようになった。それをぜひ有効活用してほしい。
マイナー観光地と認知されている場所にとっても、これは大きなチャンスである。宿泊施設、観光地などが一体となって体験型コンテンツを見いだし、情報配信するように努めてほしい。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)