今年初頭は、オミクロン株の猛威により足止めされましたが、3月から、また元気に全国行脚をしています。九州から千葉へ、年度内の大切な会議があり新潟へと、再び皆さんとリアルにお目にかかれる喜びをかみしめていました。
今回は、3月17日に開催された九州運輸局主催の「第2回九州ユニバーサルツーリズム広域ネットワーク連絡会」についてお話ししたいと思います。
本連絡会は、九州各県のバリアフリー(ユニバーサルツーリズム)観光窓口の皆さんが一堂に会して、近況などを報告しながら、困りごとを持ち寄って、互いの経験や知恵で解決しようとするものです。
その成り立ちは、ユニバーサルデザインという観点において、最も先進的な佐賀県嬉野温泉の小原健史会長の構想から始まりました。「九州を世界一のバリアフリー&ユニバーサルツアーアイランドにしようと思い、近しい九州の案内所の皆さんと意見交換の場が持てたらいいですねと、九州運輸局に相談しました」と小原会長がおっしゃいます。
そう、最終的な目標は、九州各県が一丸となってお客さんを迎えようとすることです。
会合の中で、とても印象的だった発言を列記します。
まず、バリアフリー旅行相談や情報発信をする「福岡空港しょうがい者・こうれい者観光案内」を取り仕切る親川修さんのお話です。車いすやベビーカーのレンタルや問い合わせの推移を見ると、問い合わせ件数が増えていることからニーズの高さを肌で感じる。案内所で車いすやベビーカーの有料貸し出しをすることで稼げているとのことでした。
この他、親川さんはバリアフリー観光における「稼ぐ知恵」を惜しみなく披露してくださり、参加者からの質問も出ました。ユニバーサルツーリズムというと、「良いことをしているのだから、無料でいいだろう」という世の風潮を一掃してくれる親川さんの言葉の数々に、私も感嘆しきりでした。
また、別府・大分バリアフリーツアーセンター理事長の若杉竜也さんは「別府港のユニバーサルデザイン化に関して」、車いすユーザーの当事者としてアドバイスをしているそうです。ユニバーサルデザインを考える際に、当事者の意見や希望を聞くことは極めて大切です。ですから、このように若杉さんが参画し、その声が政策に反映されることでそれが大きな話題となり、「当事者参画」というスタイルが九州全体に定着していけばいいな、と願うばかりです。
かごしまバリアフリーツアーセンターの紙屋久美子代表は参加した感想をこう話してくれました。「国の機関がきっかけを作っていただけたことは大変有り難いですし、他県の方の取り組みを学べて、なおかつ同じ立場の皆さんとリアルでお会いし、お近づきになれるのはとてもうれしいことです。九州全体で進める事案として、例えば私は『温泉サミット』をやりたいです。温泉に入浴介助などの付加価値を設けたり、いろんな仕組みで九州の温泉地を盛り上げられればなぁと…」と、夢が広がっているようでした。
実はこの前日、私は九州運輸局から「国土交通省九州運輸・観光クリエーター」に任命されまして、大変せんえつながら、「第2回九州ユニバーサルツーリズム広域ネットワーク連絡会」の進行役を仰せつかりました。
九州の魅力を伝えながら、バリアフリーの旅の環境を整えたり、多くの方に有益な情報を広めるお役に立ちたいと思っております。
(温泉エッセイスト)