第883回「よその旅館ホテル」
──景観が自慢のようですが。
「三方を山に囲まれ、標高900メートルの山田温泉にあります。春は山桜と新緑、夏はせせらぎと深緑、秋は月と紅葉、冬は水墨画のような風景など、刻々と移り変わる渓谷美を楽しめます。客室には月見の縁台を設けております。特に新緑月、日本紅葉百選で1位になった紅葉月はお薦めです」
──温泉について。
「源泉は、塩を含んだ含ヒ素ナトリウム・カルシウム塩化物泉で、江戸初期に発見され、1798年に10年の歳月をかけて現在の地に引湯されました。当荘の大浴場、露天風呂は渓谷に迫り出して建っております」
──宿の歴史は。
「開業は開湯以来と言われていますが、昭和20年に温泉街が全焼し、古文書類が全て焼失しておりますので、本家から分家した江戸末期の創業としております」
「明治28年にお訪ねいただいた森鷗外先生の紀行文『みちの記』に、当時の藤井荘のことが記されております」
──主な館内施設を紹介してください。
「眼下100メートルの渓谷美が楽しめる『渓谷お茶処 山の茶屋』、大浴場『五万石風呂』、お食事処『東兵衛茶屋』などがあります」
──交通は。
「JR長野駅からタクシーで約45分、長野電鉄須坂駅からバスだと約40分、タクシーで約20分。車は上信越道須坂長野東インターから30分くらいです」
──日常心がけていることはありますか。
「お客さまにはつかず離れずをモットーに、自然豊かな中でゆったりと過ごしていただくことを心がけております」
【24室。1泊2食付き平日1人3万1320円から(消費税込み。入湯税150円が別途必要)】