豪商の邸宅で京都味わう
第697回よその旅館ホテル
──大変歴史のある建物だそうですね。
「ここは、『京瀬戸十作』として知られる桃山時代の豪商『有来新兵衛』の邸宅を京都の三大豪商といわれた大黒屋さんが譲り受け、16代もの間住んでいらした場所です。現在本館として使用している建物は、1788年の1月の『天明の大火』の後、同年の5月に大黒屋さんが上棟したもので、京都市から『伝統的様式木造商家』の指定を受けています」「内装は平成5年に、大浴場は今年の夏に改装しておりますが、外観などは昔ながらの京町屋の趣をそのまま残しています。鎌倉時代に作庭された日本庭園内には宿泊できる茶室もあるんですよ」
──食事は。
「旬の京野菜などを使った本格京懐石をお出ししていますが、常に『よそさんとは違うように』と心がけ、出し方や器などに当館らしい『面白み』を加えるようにしています。この当館らしさ、面白みというのは、『泊まってもらわな、分からへん』(笑い)。はまった方は何度もお越しくださいます」
──客層は。
「修学旅行のお客さまがメーンですが、シニアのご夫婦や欧米からの外国人のお客さまなどもお越しになります。意外に多いのが、小さいお子さん連れのご家族で、逆に、最近はやりの『女子会』の方は少ないですね」
──経営の課題は。
「オン期、オフ期の差をどうやって埋めていくかということです。1、2月はお客さまが全体的に少なくなりますので、近隣エリアの小団体の営業をしたり、近隣ホテルの宿泊客向けに夕食を提供したりして、当館を知り、使ってもらうきっかけを作るようにしています」
【本館22室、別館15室、1泊2食1万4700円から】