自慢は鯛のかぶと蒸し
第596回よその旅館ホテル
──客層は。
「料理と温泉をのんびり楽しもうという個人客が中心ですね。かつては修学旅行でにぎわったのですが、今は少なくなりました。スポーツ大会などのイベントがないと、団体客はなかなか期待できません。当館の場合、地元の法事や祝い事といった宴会の売り上げが6割5分ぐらいを占めますが、観光目的の宿泊客をいかに伸ばすかが課題です」
──宿のセールスポイントは。
「鯛の頭を甘酢で蒸したかぶと蒸し、創業当時からお出ししているワカメとシイタケをだし汁で炊き込んだワカメご飯などの評判が良いようです」
「源泉かけ流しのお風呂も自慢です。島原温泉の認知度は全国的には高いとは言えませんので、もっと高めていく必要があります」
──周辺観光は。
「島原半島は日本で初めて世界ジオパーク(地質遺産などを中心とする自然の公園)に認定され、地元の関係者は集客に期待していますが、登録されてまだ1年ほどで、ジオパークの魅力が一般に浸透するまでにはもう少し時間がかかりそうです。やはり当地への滞在を伸ばしていくには、地元に観光メニューをつくっていく必要がありますね」
──版画家の小崎侃氏と交流がおありだとか。
「出身は熊本ですが、若い頃から長崎におられて、当館にも度々立ち寄っていただいています。種田山頭火の句をイメージした作品などがあり、ファンも多い方です。館内にも作品があり、ロビーには畳一畳分ほどの絵を展示しています。ホームページでは当館のために描いてくれたオリジナルの作品や旅先から届いた絵葉書などを紹介しています」
【22室、1泊2食1万1700円から】