観光庁の井手憲文長官は、3月21日の専門紙向けの定例会見で、長官就任2年目となる新年度の抱負を語った。インバウンドのマーケティング機能のさらなる充実、観光産業の強化に意欲を示したほか、国内観光の振興についても、これまで取り組みが弱かったとして、施策のあり方を再検討するとした。
井手長官は2012年4月に就任。観光庁の施策がイベント的な事業に偏っていたとして、マーケティングや産業育成を重視する姿勢を打ち出していた。
インバウンドでは、日本政府観光局(JNTO)との連携を密にし、市場やセグメントごとの対応を強化。13年度は、事業の開始から10年目のビジット・ジャパン事業をさらにステップアップさせ、成果を上げていく。
観光産業の育成、MICE(国際会議など)の誘致・開催に向けては、12年度に有識者検討会をそれぞれに設置し、施策の方向性を整理。13年度は「各検討会からの提言を踏まえて施策を実行していく」と強調した。
国内観光の振興にも言及。「これまで取り組みが弱かった。国内観光の旅行回数、宿泊数は減少している。若者旅行の活性化や着地型旅行の振興など個別の施策を進めてきたが、国内の流動をどう大きくするか。仕掛け方が難しく、答えは出ていないが、包括的に増やす方策を考えてみたい」と述べた。
また、観光庁の業務の進め方についても課題を挙げた。観光庁は08年10月に国土交通省の外局として発足。施策の迅速な執行など体制の強化で多くの成果がある一方で、「観光庁が孤立した感がある。仕事が庁の中で完結してしまう面があり、他の部局との調整に汗する部分が弱くなった。他の部局との連携を強化し、オール国交省に戻したい。そして他省庁に連携を広げていく必要がある」と指摘した。