環境省はこのほど新たに、「平成の名水百選」を選んだ。名水百選の選定は昭和60年以来約20年ぶり。全国の清澄な水を広く紹介するのが目的だった前回とは異なり、水資源の貴重さ、清澄さの観点だけでなく、地域住民らが主体的に水環境の持続的な保全や維持に携わっているかを重視し選んだ。今回の選定を契機に、きれいな水を守る活動を各地域に進めてもらうのが狙いだ。
昭和60年の名水百選に選ばれた水資源とは異なる100カ所の水資源を選んだ。今回の選定では水質、水量だけでなく、(1)周辺の生態系や保全のための配慮といった周辺環境の状況(2)保全活動の内容とその効果(3)親水性・近づきやすさ──などを軸に評価。各都道府県から4件を上限に推薦された名水162件から選んだ。秋田県にかほ市の獅子ヶ鼻湿原「出壷」のような国の天然記念物に指定された湧水だけでなく、産官民あげた保全を行っている静岡県三島市の「源兵衛川」のようなかんがい用水まで幅広く選定している。
6月25日には名水百選に選ばれた自治体の関係者に対し、鴨下一郎環境大臣が認定証を交付した。鴨下大臣は「G8でも環境全般が大きく取り上げられているように、『環境』に注目が集まっている。皆さんの地域が手本となって、水を守る取り組みが広がることが重要だ」と述べ、保全活動など各自治体の取り組みのさらなる盛り上がりに期待感を示した。
選定委員長の岡田光正・広島大学大学院教授は、「昭和の『名水百選』のある地域は名水を地域おこしなどに生かしている例が多い。名水が親しまれるためには周知もインフラ整備も大切だが、本来の生態系などを大切にしながら、地域のために生かしてほしい」と話した。
名水を試飲する鴨下環境相(左)