「ハイサービス日本300選」に旅館・ホテル6軒


 サービス産業生産性協議会(代表幹事・牛尾治朗ウシオ電機会長)は、サービス産業のイノベーションや生産性向上に役立つ先進的な取り組み事例を「ハイ・サービス300選」として表彰しているが、15日までに52の企業・団体を新たに選定した。今回、6軒の宿泊施設が入っており、これら施設が行うサービスは集客策などに悩む施設にとっても経営のヒントとなりそうだ。

 岩室温泉(栃木)にある大黒屋。創業約460年という歴史ある旅館。「近年はサービスに現代美術を取り入れ、全国でも珍しい温泉旅館として知られている」(同協議会)。“保養とアートの宿”をコンセプトに、館内外の至るところに現代アートの作品を展示。06年からは「大黒屋現代アート公募展」を開始。国内外から多数の応募があり、次世代の作家発掘にも力を入れていることなどが評価された。

 創業600年弱と、こちらも長い歴史を誇るのは鎌先温泉(宮城)の湯主一條。旅館にホテル的なサービススタイルを取り入れ、併せて従業員の再教育を行い、本格的な食事を提供する個室料亭も備えた。「新しいコンセプトのサービスを提供する旅館」(同協議会)として人気も高く、雑誌など多くのメディアでも取り上げられている。

 米国のモーテルを手本に、宿泊特化型ロードサイドホテルのチェーン展開をしているのが旅籠屋(東京)。小規模な店舗展開や飲食・物販などのサービスを行わない徹底したローコストオペレーションで、家族4人で泊まった場合、1室1万500円からという低廉な価格を実現。「飲食店など地域のレジャー産業との競合がないことから、出店地域の活性化にも貢献している」点も選定理由となった。

 「業務の“見える化”と従業員のマルチタレント化で生産性の向上を実現している」と評価されたのが高山グリーンホテル(岐阜)。団体から個人へと変化した旅行スタイルに合わせて、オペレーションの変更を図るとともに、人件費の削減を目標として業務の徹底的な洗い出しと従業員のマルチタレント化による業務量の平準化を行っている。

 大阪第一ホテルは77年に開業したシティホテルだ。08年には「ホスピタリティ日本一のホテルを本気で目指す」という目標を掲げ、スタッフのモチベーション向上やコミュニケーション強化のための取り組みを開始。具体的には、全スタッフを対象とした独自の研修(笑顔研修や電話研修など)、フロントでは毎日支配人の立ち会いのもと行う朝礼・昼礼・夕礼や定期的な面談など、徹底した教育を行い、リピート率や客室稼働率のアップなどの成果につなげた。

 
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