日本ツーリズム産業団体連合会は19日、東京都千代田区の経団連会館で第5回産学連携オープンセミナーを開いた。本保芳明観光庁長官や田川博己JTB社長ら、観光をけん引するリーダーの話を聞ける機会とあってか、400人の参加者のうち約8割をリクルートスーツに身を包んだ現役の大学生が占め、会場は若い熱気に包まれた。
「ツーリズム産業の未来」と銘打ったセミナーでは、本保長官が観光庁のビジョンやアクションプランについて、また石森秀三北海道大学教授がアジアでのツーリズム産業の未来について基調講演行った。このうち本保長官は、交際交流に関心がある一方で実際の交流度が低い日本人の現状を指摘し、国際的なセンスを養うことの重要性を訴えた。
続いて行われたパネルディスカッションでは、コーディネーターとして山内弘隆一橋大学大学院教授、パネリストとして田川JTB社長、見並陽一JR東日本常務、四十物実ANA上席執行役員が登壇=写真。
このうち田川社長と見並常務は、地域づくりや地域の魅力の発掘、発信など、地域に根ざした着型の取り組みを持続可能な形で行うビジネスが、今後のツーリズム産業で一層重要になってくると指摘した。またグローバル化の中で戦えるサービスクオリティや知名度の向上の必要性についてや求める人材像について、3者がそれぞれの立場から語った。
パネルディスカッション後には、参加した学生らからパネリストに向け、BRICs以外の中東諸国などへの事業展開の可能性や、地域観光地の開発時の地元住民との取り組み方などについての質問が出され、各パネラーが実際の事例を交え回答する場面も見られた。