
決算発表を行う髙橋社長(右)
ダイナミック化へ対応急ぐ
JTBが5月24日に発表した2018年度連結決算は、売上高が前期比3.4%増の1兆3673億9600万円、営業利益が23.2%増の63億2700万円、経常利益が67.9%減の30億1400万円、当期純利益が151億1600万円の赤字(前期は10億4300万円の黒字)と増収減益。旅行市場のダイナミック化に対応するため、対応不十分なシステムの開発を中止したことや、海外事業会社ののれん代の減損処理などで多額の特別損失、営業外損失を計上した。
最終赤字は09年度以来で、過去最大となる。特別損失129億3600万円、営業外損失33億1300万円を計上した主な要因として、グローバル事業でM&Aを行った南米、アジアの一部海外事業会社について、今後の事業性を勘案し、のれんの減損処理を実施した。
システム開発中止に伴う減損処理は35億円。記者発表でJTBの髙橋広行社長は、「当初予定していたシステム開発を中止し、ダイナミック化という急激な環境変化に対応するために商品開発と連動させた新たなシステム開発に切り替えたことによるもの。今後、旅行業界は間違いなくダイナミック化の流れができるので、急遽判断し、損切をした」と説明した。
連結対象会社は国内34社、海外124社、持分法適用会社22社の計180社。従業員数は2万8510人。
部門別の売上高を見ると、国内旅行は6.1%減の5063億3100万円。自然災害などの影響で企画商品「エース」は7.2%減。団体は3.5%減、メディアは10.4%減となった。
海外旅行は2.2%増の4693億8100万円。ハワイが前期好調の反動で減少したことなどにより企画商品「ルック」は3.3%減、団体は6.4%増、メディアは6.0%増だった。
訪日旅行は2.4%減の613億5千万円。訪日旅行サイト「JAPANiCAN」は7.1%増、訪日外国人向け商品「サンライズツアー」は4.4%減となった。団体は前期の大型案件の反動で減少した。
グローバル事業は41.0%増の1154億4千万円だった。
19年度業績は売上高で前期比1.3%減の1兆3500億円、営業利益で42.9%増の90億円、経常利益で233.3%増の100億円、当期純利益で54億円を計画している。
決算発表を行う髙橋社長(右)