JTB、12年度の宿泊商品を抜本改革


 JTBは、宿泊販売の大目標に掲げる4千億円の早期達成を目指し、2012年度の宿泊商品を抜本的に改革する。宿泊施設そのものや商品企画の魅力を確立し、その価値をパンフレットやウェブ上で明示して訴求。付加価値のある高単価商品の販売によって単価アップの実現を図り、宿泊販売を拡大したい考えだ。

 順調に伸びていた宿泊販売は、08年度の3651億円をピークに漸減傾向で、10年度は3260億円にとどまった。目標は08年から3年連続で未達。景気低迷の影響もあるが、ネットエージェントによる価格志向の宿泊単品が市場で幅をきかせるなか、主力商品の企画商品「エース」の売り上げが落ち込んでいることが要因として大きい。

 エース商品の改革ポイントは、「他社との差別化」から「施設、プランの差別化」への転換。他社との差別化では、お銚子1本付きに対抗して2本付きという安易な発想にもなる。宿泊施設が持つ品質や価値を旅行のプロの目で見抜き、消費者に分かりやすく伝える「価値明示」を徹底する。

 付加価値のあるエース商品としての特典は、ウェルカムドリンクといった独自色のないサービスではなく、「宿泊施設の特徴をさらに際立たせるものに限る」(JTB旅行事業本部国内企画部長・高木俊光氏)。夕食で一番夜景の眺望のいい席の確保、少量しか仕入れできない食材を使った食事、などを例として挙げる。

 商品造成に向け、関係する宿泊施設には積極的な協力を呼び掛けるが、宿泊施設側が自館の特徴や価値を把握できていないケースも少なくない。特徴を表出させることがJTBの課題だ。

 宿泊施設以外の付加価値については、満足度の高い旅行の提供を付加価値と位置づけて、パンフレットでは、地域での過ごし方の提案を強化。企業の方向性とするDMC(デスティネーション・マネージメント・カンパニー)として、地域の新たな魅力の発掘に一層力を入れる。地域の魅力の提案で、ネットエージェントとの差別化を図る。

 今回の商品改革について高木氏は「最終目標は単価アップ。高いものには値打ちがある。その値打ちをパンフレットや店頭コンサルティングなどでお客さまにきちっと見せて、納得して買ってもらう」と狙いを明かす。

 一方、価格志向のニーズをとらえるため、主催旅行のエースではなく、手配旅行では安値のプランを提供していく。

 
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