ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO、東京都港区、田川博己会長)は2日、「インバウンドの最新動向を伝える報道機関向けセミナー」を同協会内で開いた。
同協会の新津研一専務理事・事務局長は「訪日客数の増加に伴ってツーリズム産業が拡大を続け、経済効果をさらに広げている」と指摘。具体的には、従来型の狭義の観光業に加えて、14年4月から小売業、15年10月からソリューション企業、同15年頃から製造業の一部がツーリズム産業の範疇に入り、16年からは飲食業も入ってくるようになると解説した。
一方で「特に小売業者は観光業界のことをよく知らず、観光協会の役割も理解していない」と述べ、現状では「ショッピングとツーリズムは融合できていない」と問題点を強調した。
その上で「免税制度がショッピングツーリズムの扉を開いた。訪日外客の誘客活動で、狭義の観光業、地域の観光協会と、小売業がうまく連携すれば、相乗効果が期待できる」などと話した。
同協会の佐藤暢威事業推進部長は、「最新のショッピングツーリズム事情」と題する講演の中で、訪日外客の買物消費額からJSTOが独自に推計した免税売上額を発表。観光庁が発表した14年の訪日外国人客数1341万人(前年比29%増)・買物消費額7142億円(同54%増)のうち免税売り上げは2144億円で、うち百貨店免税売り上げは730億円とした。15年上半期については同914万人・同6831億円のうち免税売り上げは3991億円、うち百貨店免税売り上げは939億円と示した。
また「14年以降、免税店は増加しているが、6割以上が札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5大都市に集中している。今後は地方エリアでの免税対応の充実が不可欠となっている」と話し、免税店の今後の課題を指摘した。
観光庁発表による全国の免税店数は、15年4月現在で1万8779店舗。前年同時期より1万3002店舗増加した。
インの最新動向を報告する新津専務理事