日本政府観光局(JNTO)は、今年の外客目標1千万人の達成を目指し、9〜12月を“ラストスパート”の期間と位置づけ、海外へのプロモーション事業を強化する。羽田空港の国際定期便就航を契機とした誘客のほか、航空チャーター便やクルーズ船を活用した地方への誘客を促進していく。
今年1〜7月の訪日外国人旅行者数は、中国の増加や韓国、台湾の回復で前年同期比36.3%増の508万1千人。今後も同程度の伸び率のままだとすると、年間では900万人台前半にとどまる。JNTOの間宮忠敏理事長は、8月31日の記者会見で「1千万人に少しでも近づけるため、最大限努力したい」と述べ、9月以降の需要拡大に意欲を示した。
ラストスパート期間の事業では、羽田空港に今年10月31日以降、国際定期便が各路線に就航する機会を踏まえ、航空会社や旅行会社とタイアップして誘客事業に取り組む。航空会社では日本航空、全日本空輸、シンガポール航空、タイ航空、キャセイパシフィック航空、香港ドラゴン航空の6社と、旅行会社では香港の業者など3社と提携。共同広告を出したり、旅行会社向けのセミナーを実施したりする。
地方への誘客では、チャーター便を利用したツアーの販売を促進する。上海と茨城、旭川、岡山を結ぶ便、北京と旭川、静岡、神戸、沖縄を結ぶ便が対象。旅行会社との共同広告の出稿、航空会社へのチャーター便の継続運航への働きかけなどを行う。また、上海発で福岡に寄港するクルーズツアーでは、南京の旅行会社との共同広告により販売を促進する。
このほか年内には、日本のクリスマスや年末年始のイベントを海外にPRし、需要拡大につなげる。「JNTO訪日外客訪問地調査」で外国人が訪日旅行で期待することのトップだった「日本食」の魅力に関する情報提供も強化していく。