全日本シティホテル連盟(JCHA)は10日、会員を対象にした「2016経営者セミナー」を東京都内で開催した。テーマは「業界の常識を疑うことからイノベーションは始まる」。異業種からこれを学ぼうと自動車リサイクル事業から講師を招いた講演など、各種のプログラムを実施した。
会員ホテルから約100人が参加。冒頭のあいさつで藤野公孝会長は、「今日は盛りだくさんのスケジュールだが、何かここで得て、持ち帰って、現場の仕事に役立ててほしい」と訴えた。
自動車リサイクル事業を営む会宝産業(石川県金沢市)の近藤典彦会長が「静脈産業からの視点経営」と題して講演=写真。人間は動脈と静脈の血液が循環しているから健康体でいられる。同社は、新しい物を作る側を「動脈産業」と位置付け、いらなくなった物を元に返す、再資源化する「静脈産業」を目指している。
今まで企業は「登山経営」をしてきたと語る近藤会長。「右肩上がり、人口も多かったので作ればどんどん売れる。だが、これからは『下山経営』。今までと違うやり方をしなければ物は売れない。本当にお客さまが喜ぶために仕事をやっているのかどうか、もう一回見つめ直す時代に来ている」と経営イノベーションの必要性を指摘した。
セミナーではこのほか、長野第一ホテルの宇都宮恒久会長の講演や会員によるパネルディスカッションも行われた。