エイチ・アイ・エス(HIS)と神奈川県は3月29日、インバウンド観光推進に関する協定を締結した。同社の申し入れで連携が実現した。世界各国に拠点を持つ同社が送客に力を入れ、人口や経済規模に比べて立ち遅れている同県のインバウンド観光の活性化を図る。
同社の平林朗社長と黒岩祐治知事が同日、県庁内で協定書にサインをした。
今後両者は、県が持つ観光情報を同社に提供し、世界各国・地域の同社拠点ネットワークで把握している外国人観光客のニーズ調査結果を県に提供する。さらに、同社海外店舗でのPR、訪日客対象の着地型観光の共同開発と販売、観光に詳しい県職員を育成するため、また行政について学ぶため同社社員2人の県への派遣などの施策を行っていく。
締結式後の記者会見で平林社長は「知られていない観光地にたくさん(訪日客に)来ていただくお手伝いをしたい。観光資源をもっとアピールすべき」と述べ、同県は観光素材を生かし切れていないと指摘。黒岩知事は「横浜、箱根、鎌倉に次ぐ観光地を作ろうとやってきたが、インバウンドを取り込めていないことは経済的にロスをしていること」とした上で、横浜で予定されている2019年のラグビーワールドカップ決勝や県内でも競技が行われる2020年東京五輪を機に、同社と協力して訪日客増に取り組んでいく考えを示した。
観光庁がまとめた宿泊旅行統計調査によると、昨年1年間の同県の外国人延べ宿泊者数(速報値)は約217万人泊で全国9位。関東では埼玉県や北関東3県よりは多いものの、東京都(約1778万人泊、1位)や千葉県(約348万人泊、6位)よりも少ない。
協定書にサインする平林社長(右)と黒岩知事