今年3月の訪日外客数は71万人で前年同月と比べて24.9%増加した。日本政府観光局(JNTO)が4月26日に推計値として発表した。訪日市場は回復基調にあるが、景気後退や円高の影響を受ける前の08年3月の実績(73万2千人)には届かなかった。1〜3月合計では前年同期比29.4%増の201万6千人となった。
昨年11月以降、前年同月の実績を5カ月連続で上回っている。ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)重点12市場では、英国を除くすべての市場で前年同月の実績を超えた。中国、タイ、フランス、ドイツは3月としての最高記録を更新した。
3月の韓国は、08年の18万7千人、07年の18万9千人の水準には達していないが、前年同月比56.3%増の16万9千人と回復をみせている。秋田県の田沢湖などを舞台にした韓国のテレビドラマ「アイリス」のヒット効果が持続し、ロケ地をはじめ訪日観光が好調に推移している。
韓国に対しては、昨年11月から今年3月にかけて展開した「ビジット・ジャパン・イヤー2010」事業の広告宣伝や懸賞キャンペーンも需要喚起につながったとみられる。
ただ、日韓間の航空便について、「訪日旅行需要が増加したため、一部で航空座席の不足が生じ、需要に供給が追い付かない状況」(JNTO)となっている。
中国は22.3%増の12万4千人で3月としては過去最高。3月、1〜3月合計ともに市場別で台湾を上回る第2位の訪日数になっている。中国国内の消費意欲は高く、今年に入ってからの訪日個人観光査証(ビザ)の発給件数は、1月が3251件、2月が1897件、3月が2784件となっている。2〜3月のVJC事業では「桜」などをテーマに宣伝事業を展開した。
台湾は、18.7%増の9万人。香港は19.3%増の3万6千人。豪州は13.3%増の2万人。いずれも景気回復が海外旅行需要にプラスに作用しているとみられる。
欧米で2ケタの伸びとなったのは米国とドイツ。米国は景気回復とともに10.3%増の7万2千人。ドイツが19.5%増の1万4千人。ドイツは08年9月以降、減少基調だったが、JNTOが協力したメディア招請事業により1月に訪日観光の紹介番組がゴールデンタイムに放映された効果などもあったとみられ、3月は過去最高を記録した。
VJC重点市場で唯一、前年同月の実績を下回った英国は、ストによる航空便の運航取り消しなども影響し、5.5%減の1万8千人だった。
日本人の出国数は 9.4%増の155万人
3月の出国日本人数は前年同月比9.4%増の155万2千人で、1月以来、2カ月ぶりに増加した。3月の成田空港の発着枠拡大、円の高止まりなどがプラスに作用したとみられる。ただ、3月として過去最高を記録した2001年の161万2千人と比較すると約6万人少ない。