電通と電通ダイレクトは9月17日、50〜79歳を対象とした「シニア・プレシニアの商品・サービス購買行動調査」の結果を発表した。AIによる接客に「抵抗がない」と答えた割合は全体の33.5%にのぼり、「抵抗がある」の31.1%を上回った。年代別では50代が39.2%と最も高く、70代の26.0%を大きく引き離した。

調査の概要
調査を実施したのは、電通が社内横断プロジェクトとして設ける「電通シニアラボ」。超高齢社会における社会課題解決をテーマに、シニアに関する意識や動向の研究、ソリューション開発を行う組織だ。
調査対象は、直近3か月以内に通販もしくは店頭で、宅食・ミールキット、健康食品・サプリメント、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、育毛剤・白髪染め、健康家電・機器、健康ウェア・サポーター、美容家電・機器のいずれかを購入した全国の50〜79歳男女。フリーマーケット・オークションサイトを除く。
サンプル数は3600人。人口構成比に合わせてウエイトバック集計を実施した。調査手法はインターネット調査で、調査期間は2026年6月19日から6月22日。実査委託先は楽天インサイト株式会社。
調査の目的は、シニア向け商材のターゲット層となる50代〜70代を中心に、情報接触から実際の購買に至るまでのカスタマージャーニーを詳細に把握すること。購入チャネルに求められる役割や購入判断期間、検討時に参考にする意見・人物などを深掘りし、シニア消費者の購買の型を明らかにすることを目指した。
AI接客への抵抗感、「どちらともいえない」が最多の35.4%
買い物をする際にAI(AIチャットボットやAIオペレーター、AIによるおすすめなど)が接客やサポートを行うことについて、全体では「抵抗がない」(「全く抵抗はない」と「あまり抵抗はない」の合計)が33.5%、「抵抗がある」(「少し抵抗がある」と「強い抵抗がある」の合計)が31.1%だった。最も多かったのは「どちらともいえない」の35.4%。
内訳を見ると、「全く抵抗はない」が7.4%、「あまり抵抗はない」が26.1%、「どちらともいえない」が35.4%、「少し抵抗がある」が22.2%、「強い抵抗がある」が8.9%となった。
年代別では、「抵抗がない」と答えた割合が50代39.2%、60代34.8%、70代26.0%と、年齢に伴い減少する傾向が明確に出た。一方、「どちらともいえない」の割合は50代33.6%、60代35.4%、70代37.4%と、年代が上がるほど上昇した。
50代・60代では「抵抗なし」が「抵抗あり」を上回った。50代の「抵抗なし」は39.2%に対し「抵抗あり」は27.3%、60代は「抵抗なし」34.8%に対し「抵抗あり」29.8%。これに対して70代では逆転が生じ、「抵抗あり」が36.5%と「抵抗なし」の26.0%を上回った。
男女差も鮮明、70代女性は40.3%が「抵抗あり」
性別で見ると、AI接客に「抵抗がない」男性は38.0%だったのに対し、女性は29.3%にとどまった。男性の「全く抵抗はない」が9.1%、「あまり抵抗はない」が29.0%、「少し抵抗がある」が19.8%、「強い抵抗がある」が7.7%。女性は「全く抵抗はない」が5.8%、「あまり抵抗はない」が23.5%、「少し抵抗がある」が24.4%、「強い抵抗がある」が10.1%だった。
性年代別に詳細を見ると、男性50代は「抵抗なし」43.1%・「抵抗あり」23.1%、男性60代は「抵抗なし」38.4%・「抵抗あり」28.2%、男性70代は「抵抗なし」31.3%・「抵抗あり」32.2%。一方、女性50代は「抵抗なし」35.2%・「抵抗あり」31.5%、女性60代は「抵抗なし」31.2%・「抵抗あり」31.3%とほぼ拮抗。女性70代は「抵抗なし」21.5%・「抵抗あり」40.3%と、最も抵抗感が強い結果となった。
50代は男女ともに「抵抗がない」が「抵抗がある」を上回った。60代では男女差がみられ、男性60代の「抵抗なし」38.4%に対し、女性60代は31.2%にとどまった。
期待するAIサービス、「個別最適レコメンド」が全体トップ
AI接客に期待するサービスについては、回答者3600人のうち、AIに対するニーズ未形成・AI不信に該当する回答を除いた1351人を対象に出現率を算出した。
全体では「個別最適レコメンド」が22.2%で最多。次いで「対話・相談・有人連携」(買い物時の相談相手になる、複雑なやりとりに対応する、オペレーターへの自動連携ができるなど)が19.8%、「比較・コスパ最適化」が15.9%、「商品情報・メリデメ説明」が12.4%、「価格・最安値探索」が9.9%、「信頼性・中立性・正確性」が8.1%、「美容・健康の適合支援」が7.4%、「在庫・店舗・売場案内」が4.8%、「割引・ポイント・買い時」が4.6%、「簡単操作・アクセシビリティ」が4.5%と続いた。
年代別に見ると、50代は「個別最適レコメンド」が29.3%でトップ。次いで「対話・相談・有人連携」18.5%、「比較・コスパ最適化」15.7%、「価格・最安値探索」11.4%、「商品情報・メリデメ説明」10.4%、「美容・健康の適合支援」8.7%、「信頼性・中立性・正確性」6.9%、「割引・ポイント・買い時」6.3%、「在庫・店舗・売場案内」3.9%、「簡単操作・アクセシビリティ」3.9%の順だった。
60代でも「個別最適レコメンド」が21.8%で首位。「比較・コスパ最適化」16.8%、「対話・相談・有人連携」17.3%、「商品情報・メリデメ説明」12.5%、「価格・最安値探索」9.5%、「信頼性・中立性・正確性」9.3%、「美容・健康の適合支援」7.8%、「在庫・店舗・売場案内」5.4%、「割引・ポイント・買い時」4.3%、「簡単操作・アクセシビリティ」4.1%が続いた。
70代では様相が異なり、「対話・相談・有人連携」が24.5%でトップ。全体の19.8%を4.7ポイント上回った。「個別最適レコメンド」は13.9%にとどまり、50代の29.3%とは15.4ポイントの差。「比較・コスパ最適化」15.2%、「商品情報・メリデメ説明」14.9%、「価格・最安値探索」8.6%、「信頼性・中立性・正確性」8.1%、「簡単操作・アクセシビリティ」5.8%、「在庫・店舗・売場案内」5.3%、「美容・健康の適合支援」5.3%、「割引・ポイント・買い時」2.8%の順となった。
調査担当者のコメント
電通シニアラボは調査結果について、次のように述べている。
「AIによる接客に『抵抗がない』人は、50代で39.2%と70代の26.0%を大きく上回った。プレシニア層は、AIを活用した新しい購買体験の担い手として中心的な役割を果たす可能性がある」
「期待するサービスにも年代差が表れた。50代・60代は『個別最適レコメンド』を最も多く挙げ、自分の好みや傾向を踏まえた提案を求めている。一方、70代で最も多かったのは『対話・相談・有人連携』であり、目当ての商品が見つからない時や迷った時に相談できる相手をAIに期待している。同じシニア・プレシニア層でも、AIに求める役割は年代によって異なる。企業には、一律の自動化ではなく、年代ごとの期待に応じた接客設計が求められる」
なお、本調査における構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合がある。




