今年に賃上げ「あった・ある予定」30%、昨年7月比4ポイント増 収入への不満「物価高に対応できず」45%で最多


 紀尾井町戦略研究所(KSI)は9月18日、賃上げと収入に関する意識調査(第4回)の結果を発表した。今年になって賃上げがあった、もしくは今後ある予定と答えた人は30.4%で、前回2025年7月8日調査の25.6%から約4ポイント増加した。一方、現在の収入に対する不満として「インフレや物価上昇に対応できない」を挙げた人が45.4%で最多となり、賃上げが進む中でも物価高への懸念が根強い実態が浮かび上がった。調査は8月19日と20日の2日間、全国の18歳以上の1,000人を対象にオンラインで実施した。

 連合が7月3日に発表した2026年春闘の最終回答集計によると、賃上げ率の平均は5.01%となり、3年連続で5%を超えた。一方、緊張が続くイラン情勢は物価の先行きへの懸念材料となっており、KSIはこうした背景のもと、賃上げや収入増が実際にどの程度あったのか、また物価との関係でどう受け止められているのかなどを把握するため、調査を実施した。

賃上げ「なかったし今後もない」24.7%

 月給などの給与について、今年になって賃上げがあったか、もしくは今年ある予定かを聞くと、「賃上げがあった、もしくはある予定」は30.4%で、前回調査(25.6%)から4.8ポイント上昇した。

 一方、「賃上げはなかったし今後もない」は24.7%で、前回の29.5%から4.8ポイント低下。「賃金が減った、もしくは減る予定」は4.6%(前回5.1%)だった。

 賞与(ボーナス)や手当など給与以外の収入額が今年になってどうなったかを聞くと、「変わらない」が33.6%で最多。「増えた、もしくは増える予定」は16.7%(前回13.2%)、「減った、もしくは減る予定」は9.8%(前回10.7%)となった。

賃上げあっても「特に影響はなかった」18.1%が最多

 賃上げや収入増があった人に対し、どのような影響があったかを複数回答で聞いた。賃上げや収入増がないもしくは収入がない人を除くと、「特に影響はなかった」が18.1%(前回14.9%)で最多。「賃上げや収入増はあったが家計は苦しい」が10.2%(前回9.8%)、「貯金できるお金ができた、もしくは増えた」が6.0%(前回3.7%)、「欲しい物が買えた」が5.2%(前回4.2%)と続いた。

5年後の収入「変わらない」28.4%

 5年後の自分の収入はどうなると思うかを聞くと、「変わらないと思う」が28.4%(前回33.9%)で最多だった。「減る、もしくはなくなると思う」が25.9%(前回24.7%)、「増えると思う」が16.9%(前回14.0%)と続いた。

現在の収入への不満、「物価高対応できず」45.4%

 現在の収入にどのような不満があるかを複数回答で聞くと、「インフレや物価上昇に対応できない」が45.4%(前回44.3%)で最多。「生活したり家族を養ったりするには足りない」が23.7%(前回25.8%)、「定期的な賃上げやボーナスがない」が16.9%(前回17.8%)だった。

高市首相の消費税減税判断「評価しない」41.8%

 高市首相は7月30日、飲食料品の消費税率を2027年4月から2年間限定で8%から1%に引き下げると表明した。あわせて、1%分相当を中低所得者へ給付することで、飲食料品の消費税を実質的にゼロにするとしている。財源については赤字国債に頼らないと説明している。

 この判断への評価を聞くと、「評価しない」が41.8%、「評価する」が35.4%、「わからない」が22.8%だった。

日本の物価「今後上がる」65.2%

 イラン情勢をめぐっては、6月に米国とイランの間で停戦に向けた合意がなされたが、その後も双方が攻撃し合うなど緊張が続いている。今後、日本国内の物価はどうなると思うかを聞くと、「上がると思う」が65.2%。「現在の水準が続くと思う」が19.2%、「下がると思う」が5.9%だった。

福利厚生「充実してきたとは思わない」38.7%

 2026年4月、企業が食事補助を非課税で提供できる上限月額が3,500円から7,500円へと引き上げられた。これを機に、ランチ補助や社員食堂の利用など、既存の食事補助を拡充する企業が出ている。また、家事代行サービスの利用補助など、給与以外の面で福利厚生を充実させる事例もある。

 自身の就労先の福利厚生が、この1年程度の間に充実してきたと思うかを聞くと、「充実してきたとは思わない」が38.7%で最多。「就労先に福利厚生がない」が21.9%、「充実してきたと思う」が7.3%にとどまった。

政党支持率は自民18.8%、「支持する政党はない」50.5%

 政党支持率は自民党が18.8%(前回26年8月3・4日調査20.4%)、国民民主党が5.6%(前回4.8%)、日本維新の会が4.9%(前回4.1%)、チームみらいが3.5%(前回2.7%)、参政党が3.2%(前回4.0%)、立憲民主党(中道を同時に支持する人を除く)が2.4%(前回3.0%)、中道改革連合(立憲または公明を同時に支持する人を含む)が1.6%(前回1.6%)、日本保守党が1.4%(前回1.1%)、共産党が1.2%(前回1.3%)、中道改革連合(立憲または公明を同時に支持する人を除く)が1.1%(前回1.1%)、いのちの党(旧れいわ新選組)が0.9%(前回1.2%)、公明党(中道を同時に支持する人を除く)が0.9%(前回0.8%)、社民党が0.1%(前回0.1%)、その他の政党・政治団体が0.7%(前回0.4%)だった。「支持する政党はない」は50.5%で、前回調査と同水準となった。

 KSIは2017年にヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)の子会社として設立され、2020年4月に独立した民間シンクタンク・コンサルティング企業。新産業に挑戦する企業に対して政策活動やリスクマネジメントのサポートなど、パブリックアフェアーズ領域で総合的なコンサルティングを行っているほか、クライシスマネジメント支援、KSI官公庁オークション、地方創生やデジタル化支援、シンクタンク活動、調査事業、政策関連のメディア事業などを手がける。本社は東京都港区、代表取締役社長は別所直哉氏。

 
 

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