【接遇介助士ホスピタントの教科書 12】超高齢化社会に適した世界 大谷晃


 多くの人が健康で過ごしているとはいえ、加齢による衰えは、無視できません。

 平成29年度高齢者白書によると、2012年、認知症患者数は約460万人で高齢者人口の約15%でしたが、2025年になると、人口の5人に1人が認知症になるという推計が出ました。

 認知症の要因の一つが「加齢」であることから、超高齢化社会で暮らす私たちは、「誰もが認知症になりえる」「他人事ではない」ということを意識しておかなくてはいけません。

 例えば、

 ●食べたメニューを思い出せない

 ●外出先で人と会ったことを忘れる

 というのは、「加齢による単なる物忘れ」といえるでしょう。「体験の一部だけ忘れてしまっている」けれど「ヒントがあれば思い出せる」という状況です。

 認知症の場合は、

 ●食事をしたこと自体を忘れる

 ●外出したこと自体を忘れる

 という状態になります。記憶の全体が抜け落ちてしまっている状況です。他にも「時間や季節・温度差の感覚が薄れる」というケースもあります。

 ですが、認知症の人の自我が失われているわけではありません。

 物忘れであっても、認知症であっても、当事者には感情があり、プライドがあることを忘れてはいけません。超高齢化社会で暮らす私たちと、同じ感情とプライドを持っているのです。

 お客さまの言動に戸惑うことがあったとしても、相手の感情を理解し、さまざまな人たちに対応できることがプロです。

 認知症かどうかに関係なく、

 ・様子を見守る

 ・おだやかに、活舌良く話しかける

 ・笑顔で相手の目を見る

 ・相手の話に耳を傾ける

 ・周りを取り囲まない

 ・後ろから話しかけない

 ・余裕を持ってゆっくり対応する

 このように相手に寄り添うことが「超高齢化社会に適した世界」を創るきっかけになります。

 認知症は早期発見・早期治療が重要です。気になる言動や行動があったら、まずは内科を受診し専門医へつなげてもらうようにしましょう。専門医が在籍している所は、「精神科」「心療内科」「脳神経外科」など。「物忘れ外来」や「メモリークリニック」など、認知症専門の病院もあります。

 *    *

 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「~ホスピタリティの先にあるもの~接遇介助士ホスピタントの教科書」が星雲社から発売中。問い合わせは同社電話03(3868)3275。

 
 

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