あわじ暮らしイメージパンフレット(出典:兵庫県)あわじ暮らしイメージパンフレット(出典:兵庫県)
「官民連携、住民主導」「深みのある関係人口」へ
兵庫県の淡路島では関係人口増策として、「あわじ暮らし総合相談窓口」など島内3市および兵庫県と連携しての施策など、幅広い活動を実施している。
このうち、淡路市では近年、都市部との2拠点生活やワーケーションの拠点として大きな注目を集めている。同市が推進する関係人口拡大施策の核となるのは、市が環境や制度等の基盤を整え、現場での受け入れやコンテンツ開発は民間企業や地元団体が主導する「官民連携・住民主導型モデル」だ。
具体的な施策として、市は制度面でサテライトオフィス開設などを支援し、都市部の大企業社員やフリーランスが滞在しやすい環境を整備。さらに公式LINE等を通じてボランティアやイベント情報を定期配信し、1回限りの観光で終わらせない「デジタル関係人口」の育成にも注力する。農作業や里山保全といった体験プログラムの現場支援も行い、受け入れ態勢を維持している。移住や定住の相談窓口においては、島内3市や兵庫県と広報・運営で連携し、広域的なサポート体制を構築しているのも特徴だ。
近年では、特に北部や西海岸沿いを中心に、民間事業者による洗練された観光施設やカフェのオープンが相次いでいる。これらの施設外観やデザインについて、市は一律のガイドライン設定や塗料等の推奨、効果測定などは行っていない。しかし、海や夕陽といった自然景観と調和した魅力的な店舗がSNS等で発信されることで、新たな観光スポットの誕生や認知度向上につながっていると捉えている。行政が統一的なブランディングを主導するのではなく、民間の創意工夫と地域資源の融合によって独自の魅力が形成されている形だ。
一方で、空き家活用に向けた参加型リノベーションの市主導での展開や、塗装・外観改修に特化した補助制度などは現在実施していないものの、空き家対策と関係人口・移住促進の連動は今後の重要な検討課題と位置付ける。
1人1台のICT教育環境や自然豊かな子育て環境、多様な働き方を備えた淡路市。行政と民間がそれぞれの強みを生かしながら多層的なアプローチを続けることで、一時的な訪問にとどまらない深い関わりを生み出し、持続可能な地域社会の構築を進めている。
淡路島の中央部から南東部に位置する洲本市では、市民や移住者が主体となる「じっくり型」のコミュニティ形成と、歴史的景観の再生を軸とした独自の地域活性化が進んでいる。観光客のような一過性の交流にとどまらず、都市部のクリエイター、レトロ・古民家ファン、週末2拠点生活者らが、DIYや空間づくりに自ら手を動かして関わることで「深みのある関係人口」へと定着するプロセスが大きな特徴だ。
例えば「洲本レトロ小路」をはじめとする城下町の歴史的な街並みを舞台に、古民家の壁塗りやDIYといったペイントワークショップを実施。参加者が地域の空間づくりに直接関与することで、まちに対する深い愛着と関与意識を育んでいる。
これを支えるのが、手厚い住まい・移住施策である。市では「洲本移住ナビ(空き家バンク)」を積極運用するほか、新生活支援事業において住宅取得や引っ越し、さらには島内生活に欠かせない自動車購入費用まで幅広くサポートを実施。子育て世帯や保育士への加算措置など、生活基盤の強化に向けた積極的な施策を展開している。これらを背景に、中古住宅を取得して自己居住用にリフォームする相談・申請は年々増加傾向にある。
一方で、制度活用の現場では課題も浮き彫りになっている。1981年5月以前に建った旧耐震基準の空き家の場合、改修補助の要件である耐震改修工事の費用負担がネックとなり、補助制度の利用やリフォームを断念するケースが見られる。利活用を進める上では、こうしたハードルの克服が今後の鍵を握る。
(塗料報知)

あわじ暮らしイメージパンフレット(出典:兵庫県)




