タイムアウト東京を運営するORIGINAL Inc.は9月16日、世界的シティガイド「タイムアウト」が毎年発表するグローバルランキング「世界で最もクールな街(The World’s Coolest Neighbourhoods)2026」の日本語版記事を公開した。
今年は26カ国・地域の40エリアが選出され、日本からは大阪・北加賀屋が6位、東京・高円寺が8位にランクイン。2025年版で東京・神保町が世界1位を獲得したのに続き、日本のエリアが2年連続で上位に選ばれた。1位は韓国・ソウルのチョンノサムガ(鍾路3街)だった。
今年で9年目を迎えたランキング
「世界で最もクールな街」は2018年に始まり、今年で9年目。タイムアウトの世界各都市のローカルエディターと専門家が、自分が暮らし働く街の知見をもとに候補を推薦し、タイムアウトの編集者によるパネルが最終順位を決定するという方式をとる。
評価基準は飲食、ナイトライフ、文化、ユニークな地元ビジネス、住みやすさ、コミュニティーの結束といった複数の要素。観光名所としての知名度ではなく、いま現地で何が起きているかを軸に評価する点が特徴だ。
2026年版トップ10は以下の通り。
- 1位 チョンノサムガ(鍾路3街)/韓国・ソウル
- 2位 ロセアン(L’Ocean)/モロッコ・ラバト
- 3位 ネオス・コスモス/ギリシャ・アテネ
- 4位 チャイナタウン/アメリカ・ロサンゼルス
- 5位 ゴヴァンヒル/イギリス・グラスゴー
- 6位 北加賀屋/日本・大阪
- 7位 チャピネロ・アルト/コロンビア・ボゴタ
- 8位 高円寺/日本・東京
- 9位 ダウンタウン/カナダ・セントキャサリンズ
- 10位 エスクイリーノ/イタリア・ローマ
造船の街からアートの街へ――大阪・北加賀屋(6位)

日本で最も上位にランクインしたのは、大阪・北加賀屋だ。
木津川河口に位置するこのエリアは、20世紀初頭から1970年代まで造船の拠点として栄えた。その後、この十年ほどでクリエーティブな街へと姿を変えた。かつての工場や倉庫、空きビルの多くがアートスペースやアーティストのスタジオとして再生されている。
壁面を彩るミューラルアートや彫刻、ステンシルグラフィティー、イラスト入りのマンホールが街の景観を形づくる。産業遺産とアートが交差する独自の雰囲気が、世界の編集者たちの目に留まった。
再開発に抗い、個性を守り続ける街――東京・高円寺(8位)

東京からランクインしたのは高円寺。新宿から数駅西に位置するこの街は、かつてのパンクシーンの中心地として知られる。地域住民が長年にわたり再開発や均質化に反対する声を上げてきたエリアでもある。
今回の評価では、「ユニークさ」と「コミュニティー」で際立った評価を得た。
迷路のように入り組んだ商店街には、古着店やレコードショップ、小さなバー、ベーカリーなど、個性豊かで常に変化する店が並ぶ。タイムアウト東京の記事では、次の店舗・施設を紹介している。
- 受賞歴のあるベーカリー「しげくに屋55ベーカリー」
- コーヒーショップ「Walnuts Coffee」
- 日本で唯一気象の神々を祭る「気象神社」
- 古着店「HIGAN」
- アジア各地の雑貨を扱う「未完成」
- 天ぷらの「天すけ」
- 銭湯「小杉湯」
- レコードを楽しめるカフェ「SUB store Tokyo」
- ライブハウス「東高円寺二万電圧」
- 「高円寺メタルめし」
高円寺の個性を支えるのは、こうした多様な店や施設の集積と、それを守ろうとするコミュニティーの力だ。
英国出版業界アワードで「年間最優秀データ企画」を受賞

タイムアウトは、世界各都市の住民への大規模調査と各都市の編集者・専門家の評価を組み合わせた都市ランキング「Best Cities」を10年にわたって続けている。世界のベストシティ、食、カルチャー、ナイトライフなど複数のランキングを毎年発表してきた。
2026年6月には、この取り組みが英国の出版業界団体PPA(Professional Publishers Association)のアワードで「Data Initiative of the Year(年間最優秀データ企画)」を受賞した。260件を超える応募の中から選ばれたもので、審査員は「複雑な読者インサイトを、リーチとエンゲージメント、明確なブランドインパクトを伴う編集戦略へと転換した野心的な取り組み」と評価している。
タイムアウトのトラベルエディターであるグレース・ビアードは、受賞に際して次のようにコメントした。「タイムアウトのBest Citiesが際立っているのは、地元の人々が自分の街の何を愛しているかを起点に、都市生活の日常をたたえている点にある」。
「世界で最もクールな街」は、この都市調査から派生して2018年に始まったランキングだ。世界数百都市の生活者に「自分の街で最もクールなエリア、過小評価されているエリア、文化的に最も刺激的なエリア」を尋ねた調査の回答に、各都市のローカルエディターと専門家の知見を掛け合わせる形で積み上げられてきた。
ORIGINAL Inc.代表・伏谷博之氏のコメント

ORIGINAL Inc.代表取締役でタイムアウト東京代表の伏谷博之氏は、今回の結果について次のように話す。
「昨年は、神保町が1位に選ばれ、話題となった『世界で最もクールな街』ランキングですが、今年は日本から2つの街が上位に入りました。この調査は、タイムアウトのローカルエディターと専門家が、世界中の街を同じ基準で評価している点にユニークさがあります。大規模開発で生まれた街よりも、人の営みを感じられる街が選ばれています。世界がいま都市や街をどう評価しているのかを知ることは、まちづくりを考える上でも、インバウンドを生活空間である街にどう迎えるのかを考える上でも、ますます重要になっていくのではないでしょうか」。
調査概要
調査名は「世界で最もクールな街(The World’s Coolest Neighbourhoods 2026)」。現地での発表日は2026年9月15日、日本語版記事の公開は2026年9月16日。選出数は40エリア(26カ国・地域)で、実施は今年で9年目となる。
選出方法は、タイムアウトの世界各都市のローカルエディター・専門家が、自分が暮らし働く街の知見をもとに候補を推薦し、タイムアウトの編集者によるパネルが評価した上で最終順位を決定するというもの。評価基準は飲食、ナイトライフ、文化、ユニークな地元ビジネス、住みやすさ、コミュニティーの結束を含む複数の要素だ。




