【専門紙誌5社共同企画】兵庫県の関係人口拡大へさまざまな取り組み~各紙誌の取材から 観光経済新聞 


朝来市でのおてつたびの様子

「おてつたび」を受け入れ 地域との交流プログラムも

 昨年の「新語・流行語大賞」にノミネートされた「おてつたび」。観光業や農業など、労働力不足に悩む地域の事業者と、旅をしながらその仕事を手伝う人々をマッチングするサービスで、2018年に始まった。参加者は地域での宿泊場所を無料で提供され、一定期間、仕事に従事する。参加者にとっては報酬や寝床を得ることで安価に旅ができたり、さまざまな出会いや体験がかなうこと、地域にとっては”お困りごと”の解決とともに、”地域のファンづくり”にもつながる両者にとってメリットのあるサービスだ。

 2022年、サービスを手掛ける株式会社おてつたび(永岡里菜代表)は、兵庫県からの委託を受け、県内3市(三木市、朝来市、洲本市)での関係人口拡大を目的とした滞在プログラムを県とともに企画した。

 兵庫県では、世帯数50戸以下の小規模集落で高齢者比率が40%を超えるなど、一部地域で人口減少、高齢化が顕著に進んでいる。県は担い手不足など集落の課題解決に資するため、集落に継続的に関わっていく関係人口の創出・拡大に取り組んでいる。

 今回の事業はその一環で、おてつたびのプラットフォームを通じて都市部など全国から同地域に関心のある若者らを呼び、これら地域の関係人口拡大を図ったものだ。

 3市において、農業の仕事に取り組むとともに、地域におけるボランディアへの参加、地域の人々との交流を盛り込んだプログラム。22年10月から12月にかけて、3市の5事業者が受け入れを行い、10代から40代の大学生、社会人ら計10人が参加した。

 仕事の内容は、地域の特産品である黒豆枝豆の収穫・選別やタマネギやニンニクの苗植えなど。また、ボランティアは道の駅での地元の祭りのPR、地域おこし協力隊と連携した空き家改修の手伝い、鹿肉加工・販売など。さらにBBQや地元での食べ歩き、周辺観光など、地元の人々と交流するコンテンツも盛り込んだ。

 事業を担当した株式会社おてつたび新規事業・連携チームの飯田瑠己さんは、プログラムについて次のように語る。

 「特徴的だったのが、地域におけるボランティア活動と、地域の人たちとの交流を取り入れたこと。通常のおてつたびは仕事のみだが、兵庫県の事業では、地域の協力を得て、地域の人たちと多く交流できるコンテンツを盛り込んだ」

 ボランティア活動と地域の人たちとの交流は、「ひょうご関係人口案内所」がコーディネートした。同案内所は、地域における困りごとの相談受け付け、その解決に向けての情報収集・発信、手助けをする人々とのマッチングを行うもので、県の企画部地域振興課が創設。現在は民間の「有限会社さとまちデザイン研究所」が運営を受託している。

 事業を終えた後の参加者の感想は、「知らなかった地域で多くの人たちと交流できた」「地域活動においては、コーディネーターのサポートで安心・充実した取り組みができた」「何かのきっかけがあれば、また地域に来てみたい」。

 一方、事業者からも「短期間の募集に関わらず、遠方から若者がアルバイトに来てくれた」「学生は飲み込みが早く、効率良く作業を進めてくれた」「人柄も良く、就活生であれば農業の後継者として受け入れたい」など、事業について感謝の声が挙がった。

 公共交通で現地に来ても、地域内の移動手段が乏しく不便だったことや、宿泊場所確保の手間が事業者にとって負担になったことなど、一部で反省点も見られたが、関係者は今回の事業について、確かな手応えを感じている。同県企画部地域振興課の担当者は「本県の関係人口施策の周知に一定の効果があった」と話す。

 おてつたびの飯田さんは「関係人口についてさまざまな捉え方があるが、おてつたびが考える関係人口は、地域において”顔”がしっかり見える人。実際に来て、体験して、地域の人たちと触れ合うという営みがあってこそ、本当の意味での関係人口の拡大につながる。地道な取り組みだが、今後も継続して事業を進めていきたい」と話す。

 (観光経済新聞)


朝来市でのおてつたびの様子

 
 

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