レコードと音楽が軸、チェックインカウンターはDJブース 東急ステイ新宿が9月29日にリニューアル開業


 東急ステイ新宿は9月29日、リニューアルオープンする。東急リゾーツ&ステイは、全国で32施設を展開する「東急ステイ」を”ライフスタイルホテル”へと進化させる。東急ステイ新宿をレコードと音楽を軸に据えたホテルへと刷新し、開業する。チェックインカウンターはDJブースになっており、ロビーにはグランドピアノを配置。各客室にはポータブルレコードプレーヤーを設置し、館内2階のレコードラックから好きなレコードを自由に選び、客室で鑑賞できるようにした。

 所在地は東京都新宿区新宿3-7-1。都営新宿線・東京メトロ丸ノ内線・東京メトロ副都心線「新宿三丁目」駅C3出口から徒歩1分、JR線「新宿」駅東口から徒歩8分の好立地だ。建物は鉄骨造・地上14階建て。総客室数は120室で、全5タイプを用意する。

 今回のリニューアルでは、客室数を従来の179室から120室へと変更することで、平均客室面積を従来比約1.5倍の25㎡へと大幅に拡大した。最大4名まで宿泊可能な客室を新設するなど、カップルから家族、グループまで多様な旅のスタイルに対応する空間へと生まれ変わった。

新宿三丁目の街そのものをホテルへ、コンセプト「SANKADO SQUARE」

 今回のリニューアルのデザインコンセプトは「SANKADO SQUARE」。古くから多様な歴史・文化が重なり合う新宿三丁目の魅力を体現したものだ。地域に開かれ、多様な人々が自然と集い、新たなカルチャーを生み出す”広場”としてのホテルを追求した。

 新宿三丁目は、映画、酒場、寄席、喫茶、書店、カメラ店など、多様な文化と個性を育んできた街だ。名曲喫茶やジャズ喫茶、ギャラリーなど、個人の好奇心や表現が集まる場所が点在し、多彩な個性が交わることで独自のコミュニティが形成されてきた。「SANKADO SQUARE」はそうした街の性質をホテルへと置き換えた。「ひと・まち・文化を取り込み、広場のような賑わいを形成する新宿三丁目のカドのライフスタイル&カルチャーホテル」と位置づける。

 クリエイティブディレクションおよび空間デザインは株式会社乃村工藝社が担当した。デザインディレクターの齋藤潤一氏、デザイナーの藤中康平氏を中心に、空間づくりから細部のデザインに至るまで、一貫したコンセプトのもと館内全体を刷新した。1階・2階・レストラン棟は、新宿三丁目にゆかりの深い「JAZZ(ジャズ)」を軸にゆるやかにつながっており、施設全体に一体感と回遊性を生み出している。ジャズクラブのように、音・人・時間・文化が交差し、その場ごとに異なる余韻を生む空間構成だ。

 ファサード(外観)は、かつて映画文化が華やいだ新宿の歴史に敬意を表し、往年の映画館や劇場の入口を彷彿とさせるデザインを採用した。昭和の面影を今に伝える”新宿のレトロな映画文化”へのリスペクトが、その佇まいに刻まれている。

 エントランスおよび館内の植栽は、幹に美しい斑が入った金明孟宗竹(キンメイモウソウチク)をメインに、ウチワサボテンやアガベといった多肉サボテン植物を大胆にミックス。植栽を手がけたのは造園家・天野慶氏(YardWorks Inc.)だ。「THE ART OF LIFE(暮らしのアート)」を掲げ、伝統の粋と現代の感性を共生させる天野氏の審美眼が、館内の随所に息づいている。異なる植物たちが調和する唯一無二の景観は、多様な文化が即興的に重なり合う新宿三丁目の街そのものを表現している。

 館内サインデザインは、デザインスタジオ「Tyle」の野村一声氏が担当。掲げたコンセプトは「逸脱と整然のゆらぎ」。ひとつの様式に固執せず、多種多様な書体を組み合わせることで、カオス(混沌)に見える自由な表現の中に調和のとれた秩序を編み出した。それはまるでジャズの即興演奏のように、異なる個性がその場で響き合い、混沌の中から偶然の調和が生まれるような深みのある空間演出だ。

 テキスタイルデザインは香月裕子氏(Katsuki Connection)が担当。新宿の街並み・カルチャー・ファッションをインスピレーションに、カーペットやテキスタイルの一つ一つが空間の中でアートとなるようにデザインを構成した。ランダムに貼られた廊下のカーペットはスタジオに入る前のリズミカルなホワイエ空間をイメージ。客室のシェードはミッドセンチュリーとネオンの残像をモチーフに、2柄のデザインを構築した。

 アートワークは吉添裕人氏(Hiroto Yoshizoe Studio)と有村大治郎氏(21B STUDIO)が担当。コンセプトは「Connected through Layers」。純喫茶、ジャズ、寄席、劇場、ネオン、路地といった新宿三丁目に積み重なる文化や記憶を抽出し、色彩、光、文字、音、街そのものの断片を重ね合わせることで、この街ならではのレイヤーを新たな風景として描き出した。

音楽と一杯のペアリング、宿泊者専用ラウンジ「Re:cord Lounge」

 2階に新設された宿泊者専用ラウンジ「Re:cord Lounge」は、朝7時から夜9時まで時間帯によって表情を変える”寛ぎのハブ”だ。

 「Re:cord Lounge」という名称には、音楽を楽しむ「Record(レコード)」と、「Re=再び」、そして紐のように人や物を結ぶ「Cord」のイメージが重ねられている。旅の途中で、人と人、人と音楽、そして新宿という街が”再びつながり、新たに出会う”場所でありたいという想いを込めたという。

 空間デザインは、新宿三丁目に根付く喫茶文化を現代的にオマージュ。音楽とドリンクを楽しめるカウンター、懐かしさを感じさせる香りが漂うポップコーンマシン、かつてこの街で賑わった純喫茶を想起させるアーチ状の天井デザイン。それぞれの要素が重なり合い、街に開かれたラウンジの象徴的な顔をつくっている。

 朝7時から11時(ラストオーダー10時30分)は、洗練された”イングリッシュ・スタイル”のライトビュッフェを提供する朝食会場として機能する。オープンキッチンから香ばしいパンの香りが広がり、彩り豊かなデリが心地よい目覚めを演出。卵、ベーコン、ヨーグルト、新鮮なフルーツなどを厳選し、多品目にせず一品ごとのクオリティを追求した。シグネチャーメニューの「クロックムッシュ」は目の前で焼き上げ、最も美味しい熱々のタイミングで提供する。出発を急ぐ宿泊者には「テイクアウトBOX」も用意する。

 正午から21時はフリーラウンジへと切り替わる。香り高いコーヒーやデニッシュなどのカフェメニューを楽しめる。15時から20時はアペリティーボやポップコーンも用意。自分で注いだメロンソーダにスタッフがバニラアイスをのせる「メロンクリームソーダ」など、遊び心あふれる体験も提供する。

 ラウンジ内のレコード棚は、音楽に詳しくない宿泊者でもその時の気分でレコードが選べるよう分類されており、地域のレコード店と連携して定期的にラインアップを更新する。選んだ一枚のレコードのムードに寄り添うドリンクも提供。バーカウンターでは気分に合わせたカクテルやモクテルを一杯ずつ丁寧につくる。「音と一杯のペアリングが自然な会話を引き出し、旅の疲れや時差ボケまでやさしく解きほぐします」とする。移動の疲れや時差ボケに悩む海外ゲストも含め、すべての宿泊者が心身のコンディションを整えられる”リフレッシュの処方箋”としての役割を担う。

全5タイプ・120室の客室構成、詳細スペック

 

 客室は全5タイプ、計120室。各客室には電子レンジと洗濯乾燥機を完備する。

 スーペリアクイーン(定員2名)は48室。平均面積16.1㎡、ベッドサイズは幅1,600mm×2,000mmのベッド1台、3点ユニット。ミニキッチンなし。「スタジオ」をテーマとした客室群は、劇場のような廊下から色彩豊かな客室へとつながる空間構成で、コンパクトながらゲストの感性を刺激するクリエイティブな滞在を提供する。

 デラックスキング(定員2名)は23室。平均面積23.4㎡、幅1,800mm×2,000mmのベッド1台。シャワーブースを備え、独立した水周りとゆとりある寝室空間がより快適な滞在を提案する。ミニキッチンなし。

 デラックスツイン(定員3名)は36室。平均面積30.5㎡、幅1,100mm×2,000mmのベッド2台とソファベッド1台。バス・トイレ別で、ミニキッチンを備える。リビングを中心とした大きなワンルーム構成で、レイアウトを変えることなく最大3名の宿泊に対応する。

 シグネチャーファミリー(定員4名)は11室。平均面積46.9㎡、幅1,100mm×2,000mmのベッド4台。バス・トイレ別で、ミニキッチンを完備。3階から13階の各フロアに1室のみ設置した2ベッドルーム構成のプライベート感あふれる客室だ。リビングを中心とした大きなワンルームとしても使用可能で、家族やグループでの自由で豊かな滞在を提案する。

 コンセプトルーム「3chome Collective TWIN」(定員4名)は1室のみ。最上階の14階に位置し、平均面積39.6㎡。幅1,100mm×2,000mmのベッド2台とソファベッド2台を備える。バス・トイレ別で、ミニキッチンと洗濯乾燥機を完備。コンセプトは「A collective of cultures unique to 3chome.」。映画・音楽・寄席・喫茶・お酒という新宿三丁目を象徴するカルチャーの融合を体現した特別な客室だ。こだわりのソファやカウンターを備えた空間でグラスを傾けたり、大型スクリーンで映画の世界に没入したりと、新宿ならではのエンターテインメント性を室内で堪能できる。最大4名のグループ滞在にも対応する。街の余韻をそのまま持ち帰ることができる特別な一室。

 ユニバーサルルーム(定員2名)は1室。平均面積22.4㎡、幅1,600mm×2,000mmのベッド1台。

 館内施設としては、1階にワッペン体験スペースとベンダーを設置。2階にはゲストラウンジ「Re:cord Lounge」のほか、フィットネスジム、レコード貸出コーナー、ベンダーを備える。

 

新宿の街と旅人をつなぐ体験プログラム群

 

 東急ステイ新宿は、宿泊施設の枠を超え、ゲストと新宿の街をつなぐ拠点として複数の体験プログラムを展開する。
 
 1階ロビーには、ワッペンワークショップ「PATCH & PLAY」のブースを常設する。新宿に息づく文化や街の記憶をモチーフにしたオリジナルワッペンを選び、服やバッグなどに取り付けて楽しめるプログラムだ。コラボレーションの第一弾として、1961年の創設以来「新宿で音楽を語るならDUG」と称され、数多くの文化人に愛されてきたジャズ喫茶&バー「DUG」が登場。その象徴的なロゴをモチーフにした「新宿限定ワッペン」を制作・販売する。今後も近隣の名店と連携し、新宿の物語を織り込んだ限定ワッペンシリーズを順次展開する予定だ。

 ローカルツアー会社「MagicalTrip」と連携した「Shinjuku After Dark Photography(仮)」も提供する。ホテルへのお迎えからスタートし、歌舞伎町やゆかりの神社など新宿を象徴するフォトジェニックなスポットをローカルガイドと共に巡るプライベートツアー。プロのフォトグラファーを含むローカルガイドが同行者全員が揃った写真を撮影する。不定期で限定プレミアムツアーも企画中だという。

 1階ロビーでは、新宿を中心に活動するDJによるDJパフォーマンスを定期開催する。DJパフォーマンス後は2階の「Re:cord Lounge」で余韻に浸れる構成だ。

 

 2階の「Music & Alcohol」エリアには「おすすめレコード紹介コーナー」を設置する。スタッフが宿泊者と共にお気に入りのレコードをチェキで撮影し、専用ボードを通じて他の宿泊者へおすすめを共有。「レコードノート」にお気に入りのレコードへの思いや日本での旅の思い出を書き留めることで、国境を越えた宿泊者同士がリアルにつながるコミュニケーションの場を生み出す。

 リニューアルオープンを記念し、「rit. craft chocolate and coffee」と共同で、7インチレコードをモチーフにしたオリジナルチョコレートの制作も進めており、今後館内で販売予定だ。「rit.」は東急ステイ メルキュール 広島の開業時に出会い、パートナーとなった広島の名店。パッケージはホテル2階共用部の空間をモチーフにしたオリジナルデザインとなる。

 

「Stay Connected.」のもとで加速するブランド進化

 

 東急ステイ新宿のリニューアルは、東急ステイが掲げる新ブランドコンセプト「Stay Connected.」のもとで展開される取り組みの一環だ。

 東急リゾーツ&ステイは2026年2月、「東急ステイ」のブランドコンセプトを「Stay Connected.」へ刷新した。「世界と日本、地域と旅人、人と文化、そしてゲスト自身をつなぐライフスタイルホテル」として、増加する訪日ゲストと多様化する滞在ニーズに応える新たな宿泊体験を提供するとしている。コンセプトは「Connected to Culture(文化と、つながる)」「Connected to the City(街と、つながる)」「Connected to Aesthetics(自分と、つながる)」「Connected to People(人と、つながる)」の4軸から構成される。

 ブランド全体の取り組みとして、ローカルなアメニティやアイテムを自由に選べる「セレクトバー」、現地スタッフが独自に編集した近隣エリアの散策ガイド「オリジナル散策マップ」、ゲスト・スタッフ・地域の人々の交流を促す「コミュニケーションラウンジ」の3つを主な施策として全国展開している。

 現在、東急ステイは全国34施設を展開しており、総客室数は5,353室(東急ステイレジデンス除く)。東京エリアだけで20施設を運営する。今後は総客室数1万室規模を視野に、全国主要都市への展開を力強く推進する方針だ。

【kankokeizai.com 編集長 江口英一】

 
 

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