エクスペディア・グループは8月17日、AIが旅行計画に与える影響と旅行者の意識を調査した「AI Trust Gap(AIに対する信頼ギャップ)」の結果を発表した。
調査では、旅行者の66%が「AIに代わりに旅行を購入・予約してほしくない」と回答。AIを旅行計画のサポートツールとして活用することには前向きな姿勢を示しながらも、最終的な判断や予約の実行については自身で行いたいと考えている実態が明らかになった。
AIは「便利な道具」、しかし最後の一歩は自分で
AIが旅行計画のあり方を大きく変えつつある時代にあって、旅行者がAIとどう向き合っているかを問う今回の調査結果は注目に値する。
旅行者はAIを活用して旅行先を探したり、選択肢を比較したり、旅程を作成したりすることにますます慣れてきている。こうしたAI活用の広がりは、旅行計画における利便性の向上を意味する一方で、旅行者が「どこまでAIに任せるか」という線引きを明確に意識していることも今回の調査結果は示している。
66%という数字が示すのは、旅行者の過半数がAIによる提案や情報整理には価値を認めながら、最終的な購入・予約という行為については自分自身の判断と行動を重視しているという現実だ。AIは「調べる・比較する・整理する」段階では歓迎されるが、「決める・予約する」という最後の一歩においては、人間の関与を求める傾向が根強い。
旅行特有の不確実性が「信頼ギャップ」を生む
この「信頼ギャップ」の背景には、旅行特有の不確実性があるとエクスペディア・グループは指摘する。
フライトの遅延や欠航、宿泊施設の予約トラブルなど、旅行中には予測できない出来事が発生することも少なくない。そのような場面では、情報提供だけでなく、状況に応じた判断やサポートの必要性を感じる旅行者も多いとみられる。
エクスペディア・グループが今回の調査結果について示しているのは、「旅行者がAIを旅行計画のサポート役として活用することには前向きである一方、最終的な判断や予期せぬトラブルへの対応については、人によるサポートを重視する傾向」だ。
AIは旅行計画の効率化や選択肢の整理に役立つ。しかし、旅行者は安心感や柔軟な対応も求めている。この二つのニーズが共存しているという事実が、今回の調査の核心にある。
AIと人のサポート、双方に価値
調査結果はまた、旅行者がAIによる支援と人によるサポートの双方に価値を感じていることも示している。
AIに頼ることへの抵抗感は、AIそのものへの否定ではない。旅行者は情報収集・整理においてAIの能力を積極的に活用しながら、意思決定の局面では人間的な判断やサポートを求めるという、二層構造の意識を持っている。
エクスペディア・グループは、「AIの活用が広がる中でも、旅行者が何を信頼し、どのようなサポートを求めているのかを考える上で興味深い結果」と今回の調査を位置づけている。
AIの進化によって旅行計画の利便性はさらに高まることが期待される。一方で、今回の調査が浮き彫りにしたのは、利便性の向上だけでは埋められない「信頼の溝」の存在だ。旅行者がAIに求めるものと、AIに任せたくないものの境界線——それが「AIトラスト・ギャップ」という概念で表現されている。
エクスペディアTAAP「クマの手」とは
今回の調査を発表したエクスペディア・グループは、旅行アドバイザー向けの世界有数の予約プラットフォームであるエクスペディアTAAP「クマの手」を運営するB2B部門を擁する企業だ。
旅行アドバイザーはエクスペディア・グループが提供するホテル、バケーションレンタル、航空券、パッケージ、レンタカー、現地ツアーなどの幅広い商品に直接アクセスでき、予約に応じてコミッションを獲得できる。旅行会社を支援するために特別に構築されたプラットフォームであり、使いやすいテクノロジー、幅広いラインアップ、競争力のある料金、専任のカスタマーサポートを通じて旅行会社の成長を後押しする。
15年以上にわたり、35のマーケットで4万社超の旅行会社と20万人超の旅行アドバイザーが、収益性の高さ、サイトの使いやすさ、信頼できるサービスを評価してエクスペディアTAAPを利用してきた。
プラットフォームでは、200を超える国と地域にある300万軒以上の宿泊施設、500社超の航空会社、110社超のレンタカー会社、17万件超の現地ツアー・体験、そして65万件超のプロモーション料金にアクセスできる。こうした規模と信頼性を生かし、エクスペディアTAAPは旅行アドバイザーが顧客に高い価値と記憶に残る旅行体験を提供できるよう支援している。
エクスペディア・グループについて
Expedia Group, Inc.(NASDAQ: EXPE)は、世界中で展開する旅行サイトであり、一つひとつの旅を通じて世界を旅する旅行者をサポートすることを目的の一つとして掲げている。
エクスペディア・グループのエコシステムには、Expedia、Hotels.com、Vrboの3つの主要コンシューマーブランド、最大規模のB2B旅行会社、トップクラスの広告ネットワークが含まれる。経験豊富で情熱的なグローバルチームの指揮のもと、エクスペディア・グループは70を超える国々の数百万人もの旅行者が安心してスムーズに世界中を旅できるようサポートしている。
同グループは「信頼されているブランド、最先端のテクノロジー、豊富な独自データを通して、旅行者やパートナー、広告主の間につながりを作り、先回りして一人ひとりに合わせて旅行の未来を形作る体験を提供している」と説明する。
今回の調査結果は、AIが旅行産業に深く浸透しつつある現状において、旅行者の意識とAIへの期待・懸念の実像を示すデータとして注目される。旅行者がAIに何を期待し、何を人間に求めているのか——その答えが「66%はAIに予約してほしくない」という数字に凝縮されている。




