GSTCがEU「EmpCo指令」と認証の関係を解説、2026年9月27日の適用開始を前に観光事業者が確認すべきポイントを公表


 GSTCは2026年8月7日、EUの「消費者のグリーン移行を支援するための指令(Empowering Consumers for the Green Transition Directive、以下EmpCo指令)」について、観光事業者および認証関係者向けの解説情報を公開した。

 EmpCo指令は2026年9月27日から適用開始となる。GSTCは今回の公開情報で、EmpCo指令が認証スキームに求める要件とGSTC認証の保証の仕組みとの関係を整理し、観光事業者が確認すべきポイントを紹介している。

EmpCo指令とは何か

 EmpCo指令(EU指令2024/825)は、根拠が不明確な環境表示や要件を満たさない認証マークやラベルから消費者を保護し、EU市場におけるグリーンウォッシングを防止することを目的とした規制だ。

 EU加盟国では、2026年9月27日から新たなルールが適用される予定となっている。

 対象となる可能性があるのは、EU域内の宿泊施設や旅行会社、観光地だけではない。EU域内の消費者に向けて観光サービスを広告または販売するEU域外の事業者にも影響が及ぶ可能性があるとGSTCは説明している。

認証スキームに求められる要件

 EmpCo指令では、「環境にやさしい」「グリーン」「サステナブル」など、具体的な根拠を伴わない包括的な環境表示に対する規制が強化される。

 また、サステナビリティに関する認証マークやラベルの信頼性を確保するため、その根拠となる認証スキームには主に以下のような要件が求められる。

  • 認証要件が一般に公開されていること
  • 透明、公正かつ非差別的な条件で利用できること
  • 専門家やステークホルダーとの協議を通じて要件が策定されていること
  • 独立性と力量を備えた第三者が適合状況を確認すること
  • 認証後も継続的なモニタリングが行われること
  • 不適合時の是正、認証の一時停止または取消しなどの手続きがあること

GSTC認証の仕組みとの整合性

 GSTCは、観光分野におけるサステナビリティ認証のスキームオーナーとして、GSTCスタンダードや認証に関するルールを策定するとともに、第三者認証機関の認定を通じて認証の信頼性を支えている。

 GSTC認証の信頼性を保証する枠組みには、スタンダードや認定マニュアル、ロゴ使用規定などの公開、パブリックコンサルテーションを含むスタンダード策定、認証後の継続審査、不適合時の是正措置や認証の一時停止・取消しなどが組み込まれている。

 また、第三者認証機関には、ISO/IEC 17065およびGSTCが定める観光分野独自の要件に基づき、独立性、公平性、審査担当者の力量などを確保することが求められる。

 GSTCは「この体制および枠組みは、透明性、独立性、第三者による確認、継続的なモニタリングなどの主要な原則において、EmpCo指令の要件と整合している」と説明している。

 なお、GSTCはホテル、旅行会社、観光地などを直接認証する機関ではない。GSTCがスタンダードと認証に関するルールを策定し、実際の審査・認証は独立した第三者認証機関が行う仕組みだ。

観光事業者が確認すべきポイント

 EmpCo指令は、環境に関する表示を行うすべての事業者に対して、認証取得を一律に義務付けるものではない。ただし、その表示には明確かつ具体的で、検証可能な根拠が必要となる。

 また、認証を取得している場合でも、関連する表示は実際の認証範囲を正確に反映する必要がある。

 GSTCは、「一部の施設やサービスのみが認証されているにもかかわらず、企業全体が認証されているかのように表示すると、消費者に誤解を与える可能性がある」と指摘している。

 観光事業者は、ウェブサイト、予約サイト、広告、パンフレット、SNSなどにおける表示について、以下を確認することが重要だとGSTCは述べている。

  • 使用しているラベルと、その根拠となる認証スキーム
  • 認証機関の独立性、力量および認定状況
  • 表示内容と実際の認証範囲との一致
  • 認証の有効性と継続審査の実施状況
  • 環境表示を裏付ける具体的かつ検証可能な根拠

GSTCとは

 グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(Global Sustainable Tourism Council)は、持続可能な旅行・観光に関する国際標準「GSTCスタンダード」を策定・管理する国際非営利団体だ。

 国連環境計画(UNEP)や国連世界観光機関(UNWTO、現UN Tourism)等の支援のもと2007年に設立。現在では各国政府、観光局、ホテル、旅行会社、認証機関、NGOなど、世界中の多様な組織・団体が会員として参画している。

 GSTCは観光事業者を直接認証する機関ではなく、サステナブルツーリズム認証を行う第三者機関の認定をはじめ、国際スタンダードの普及や人材育成・研修などを通じて、各国の関係者と連携しながら持続可能な観光の推進を支援している。

 GSTCは今後も、EUの政策および市場環境の変化を注視しながら、観光事業者、観光地、認証機関に対し、信頼性と透明性の高いサステナビリティ認証に関する情報を提供していくとしている。

 詳細はGSTCホームページ(日本語)で確認できる。日本担当への問い合わせはmarie@gstc.orgで受け付けている。

 
 

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