新聞閲読者、非閲読者より情報意識が高く 電通調査で判明 購読半年〜5年未満の4割がSNSで時事発信


 電通は5月20日、「新聞メディアの価値調査」の結果を発表した。新聞閲読者は非閲読者と比べて知識・教養への意識が高く、政治・経済・社会・文化への理解度も全項目で上回ることが確認された。また、新聞購読料の支払いが半年以上5年未満の購読者では、4割以上が時事問題についてSNSなどで情報発信していることも明らかになった。

 調査は2026年1月16日から1月21日にかけて実施された。全国の15〜69歳の男女8250人を対象にインターネット調査を行い、新聞閲読者・非閲読者双方のデータを収集した。調査は株式会社ビデオリサーチに委託した。

 本調査では、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌のマスメディア4媒体に加え、ポータルサイトやニュースサイト、動画サービス、音声メディア、物販系ECプラットフォーム、SNSや屋外広告など計18メディアを「全メディア」として対象とした。

新聞閲読者、全項目で意識高く ヘビー層が最上位

 調査対象者は利用状況に応じて以下のように定義された。

  • 新聞閲読者ヘビー:新聞(紙・電子版・有料ウェブ記事いずれか)を毎日〜週4〜6日程度閲読

  • 新聞閲読者ライト:新聞(同)を週に2〜3日程度閲読

  • 新聞無料ウェブ記事接触者:新聞社の無料ウェブ記事を月1日程度以上閲読し、かつ新聞はすべて利用なし

  • 新聞非閲読者:新聞(紙・電子版・有料ウェブ記事)および新聞無料ウェブ記事をすべて利用していない

 知識・教養などリベラルアーツに対する意識を問う設問(「とてもあてはまる」「ややあてはまる」の合計)では、新聞閲読者(N=4100)がメディア全体平均(N=8250)および新聞非閲読者(N=2075)を全項目で上回った。

 たとえば「幅広い知識を得ることに喜びを感じる」では、メディア全体平均が44.4%、新聞非閲読者が29.5%であるのに対し、新聞閲読者は59.2%に達した。「社会問題や課題について自分なりの意見を持ちたい」も、メディア全体平均36.4%、非閲読者22.8%に対して、閲読者は50.8%と大きく差が開いた。

 特に新聞閲読者ヘビー層(N=2050)はほぼ全項目で閲読者全体をさらに上回り、「何事も好奇心を持って新しいことにチャレンジしたい」では61.3%と全グループ中最高値を記録した。「幅広い知識を得ることに喜びを感じる」も60.2%、「社会貢献につながる活動に積極的に参加したい」は61.7%を示した。

 一方、新聞無料ウェブ記事接触者(N=2075)は、新聞閲読者と非閲読者の中間的な数値を示した。「何事も好奇心を持って新しいことにチャレンジしたい」が54.1%、「幅広い知識を得ることに喜びを感じる」が54.5%などであった。

政治・経済理解でも閲読頻度に比例した差 ヘビー層が全項目最高

 政治・経済・社会・文化への理解度(「知っているし、意味や内容も詳しくわかる」「知っており、なんとなく意味や内容もわかる」の合計)においても、新聞閲読者は全項目でメディア全体平均および非閲読者を上回った。

 「GDP(国内総生産)」の理解度はメディア全体平均が15.7%、非閲読者が7.2%であるのに対し、新聞閲読者は25.6%、ヘビー層では27.1%に達した。「カーボンニュートラル」はメディア全体平均18.9%、非閲読者10.5%に対して、閲読者26.8%、ヘビー層27.6%であった。

 「生成AI」では全体平均12.7%、非閲読者5.4%に対して閲読者21.6%、ヘビー層23.3%。「年収の壁」は全体平均16.7%、非閲読者8.1%に対して閲読者26.3%、ヘビー層28.1%と、いずれも閲読頻度に比例した数値の差が確認された。

 「裏金問題」はメディア全体平均20.0%、非閲読者10.3%に対して閲読者30.3%、ヘビー層32.2%を示した。「ランサムウェア」は全体平均11.4%、非閲読者4.6%に対して閲読者19.7%、ヘビー層21.3%であった。

 「サプライチェーン」は全体平均21.5%、非閲読者11.2%に対し、閲読者32.4%、ヘビー層33.9%と差が大きく、専門用語の理解においても閲読頻度の影響が顕著に表れた。

 「オーバーツーリズム」は全体平均11.3%、非閲読者4.7%に対して閲読者18.4%、ヘビー層19.4%。「トクリュウ」は全体平均12.7%、非閲読者6.1%に対して閲読者19.3%、ヘビー層20.1%であった。

購読半年〜5年未満の層 4割超がSNSで時事発信

 政治・経済・社会などの時事問題についてSNSやブログ・動画配信などのデジタルメディアで自分の意見や情報を投稿するかを問う設問では、新聞閲読者の約15%(投稿する合計14.9%)が発信していると回答した。メディア全体平均は8.3%、新聞非閲読者は2.8%にとどまり、閲読者の発信率が際立った。

 新聞購読料の支払い期間別では、半年以上1年未満(N=192)が41.2%、1年以上3年未満(N=257)が42.0%、3年以上5年未満(N=192)が41.7%と、いずれも4割を超えた。一方、半年未満(N=347)は22.6%、5年以上10年未満(N=167)は30.0%、10年以上(N=706)は9.4%と、購読期間が最も長い層では投稿率が低下した。

 新聞閲読者の内訳では、閲読者ヘビー(N=2050)が14.2%、閲読者ライト(N=2050)が16.8%。新聞無料ウェブ記事のみ閲読者(N=2075)は9.7%であった。

 電通は調査結果について、「新聞で得た情報をもとに自分の考えを整理し、発信するという行動が生まれ、新聞がデジタル空間での健全な情報発信を支える役割を担っていると考えられる」としている。

情報の信頼性判断が課題に メディアの役割重要性増す

 近年、生活者の情報行動は多様化し、日常的に大量の情報に接するようになっている。一方で、SNSや動画プラットフォームでは情報の真偽判断が難しくなり、情報の信頼性を生活者自身が見極めなければならない場面が増えている。

 電通は「デジタル社会化が進み、顕在化する『情報の理解不足』や『信頼判断の難しさ』といった課題に対し、メディアが果たす役割はますます重要になると考えられます」としたうえで、「今後も当社は、社会の変化とともに変わるメディアの価値を把握し、社会と生活者をつなぐコミュニケーションのあり方を提案していきます」と述べた。

 
 
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