日本旅行業協会(JATA)の訪日旅行推進委員会(委員長=丸尾和明日本旅行会長)は3月6日、観光庁に「2020年の目標達成と2021年以降の持続的成長に向けた訪日旅行に関する提言書」を提出した。重要なテーマとして「品質向上」「安心安全」「地方誘客促進」の三つを挙げ、それぞれについて国や地方自治体、民間が取り組むべき施策を示した。
丸尾委員長らが観光庁を訪れ、瓦林康人審議官に直接手渡した。訪日旅行に関するJATAの提言書は今回で5回目。
品質向上や安心安全の重要性について丸尾委員長は「日本の競争力の源泉は、他に比べて安全安心だし、物や食、おもてなしの品質が良いということがベースにある」と説明。地方誘客促進は「『明日の日本を支える観光ビジョン』で主要な指標が出たが、そのうちの外国人の地方部での延べ宿泊者のところに大きな課題があるという観点から提言をした」という。
品質向上に向けて提言書では、訪日外国人旅行者に対する手配旅行について、さらなる安心、安全の見える化を図る必要があると強調。オーダーメイド旅行を手配し、旅行内容について一定の質を担保できるランドオペレーターと、単に手配のみを実施するランドオペレーターの区分について検討することを国に提言している。
そのほか、レストランや土産物店、宿泊の品質認証制度や、リピーターの特典が受けられるバッジなども提案する。
安心安全に関しては、緊急時における多言語情報提供システムの拡充や、FIT旅行者向けのトラブル対応窓口・コールセンターの設置、白ナンバーのバス・タクシーに対する取り締まり強化などを求めている。
20年に地方部での外国人延べ宿泊者数7千万人泊の目標が掲げられている。その達成には「オールジャパンで受け入れる体制を整えることが重要」と主張。地方部での滞在日数の延長や、スポーツなど体験型旅行の促進、教育旅行の拡大などを図るため、二次交通周遊パスの造成促進、日本版DMOの海外に向けたマーケティング支援強化などを提言している。
課題として「言葉に対する不安から、外国人客の受け入れに対して積極的でない地方の宿泊施設や飲食施設もまだ多く見られる」と指摘。言語のストレスを緩和し、地方での受け入れを拡大するため、各県や市町村に24時間対応の通訳ホットラインの設置促進も要望している。