2017年の訪日客数、主要20市場で過去最高


 2017年の訪日外国人旅行者数は、日本政府観光局(JNTO)が発表した推計値で、前年比19・3%増の2869万1千人となった。訪日旅行の主要20市場すべてで過去最高を記録した。

 東アジア(韓国、中国、台湾、香港の4市場)は、同21・9%増の2129万2千人となり、初めて2千万人を突破し、訪日全体の74・2%を占めた。欧米豪(9市場)は、同10・0%増の325万3千人で、初めて300万人を突破した。東南アジア(6市場)は、同16・2%増の291万6千人となった。

 【韓国】40・3%増の714万人で、過去最高だった16年の509万人を大幅に上回った。外国旅行需要の増加、LCC(格安航空会社)の新規就航などで、毎月40~60万人台の訪日が安定して続き、12月には単月として過去最高の67万9千人を記録した。

 【中国】15・4%増の735万6千人で、16年の637万4千人を上回った。5月の査証(ビザ)の要件緩和に伴う個人旅行(FIT)需要の高まり、クルーズ船寄港数の増加などで、すべての月で過去最高となった。急速なFIT化に対し、訪日プロモーションでも多様な魅力を発信。「深度游」(個別テーマ性のある旅行)などを訴求した。

 【台湾】9・5%増の456万4千人。前年の現地航空会社の解散に伴う座席供給量の減少などのマイナス要因もあったが、地方へのチャーター便の相次ぐ就航、クルーズ船寄港数の増加などが訪日需要を喚起した。訪日プロモーションでは、東北、中部をはじめとする地方分散化に力を入れた。

 【香港】21・3%増の223万2千人。リピーターの割合が大きく、北海道、東北、中部、中国、四国など各地方の魅力を訴求。地方へのチャーター便の就航や増便も相次いだ。

 【東南アジア】タイが9・5%増の98万7千人。10月末のプミポン前国王葬儀に伴い、JNTOは一時的に広告の展開などを見送った。旅行商品の買い控えなどの一部影響があったが、年間を通じて訪日者数は増加傾向を維持した。

 シンガポールは11・7%増の40万4千人。上半期のシンガポール経済の厳しい成長見込みなどを背景に、外国旅行需要が停滞する中、訪日者数はおおむね堅調。10月以降、シルクエアの広島線、ジェットスターの那覇線、スクートの関西線や冬季限定の新千歳線など、地方空港への直行便就航が相次いだ。

 他はフィリピンが21・9%増の42万4千人、マレーシアが11・5%増の44万人、インドネシアが30・0%増の35万2千人など。

 【欧米豪】米国は10・6%増の137万5千人。毎月10万人前後を維持し、訪日需要の平準化が進んだ。9月にニューヨークで開催された国連総会に合わせて「日本の地方と食」をテーマにレセプションを開催。安倍首相も出席し、訪日を呼びかけた。

 豪州は11・2%増の49万5千人。イースター休暇の日程変動の影響を受けた3月を除き、すべての月で同月過去最高を記録。16年冬にはカンタス航空が新規路線を就航。7月にはメディア招請の成果として豪州で人気の料理テレビ番組で約1週間にわたって日本特集が放映された。

 英国は6・2%増の31万1千人。日本から英国への旅行需要増加を背景に、日英間の航空路線で英国発の割り当てが減少し、座席確保が難しくなったが、継続的なプロモーションが、訪日者数の伸びを後押しした。19年のラグビーワールドカップ日本開催を踏まえた訪日意欲の喚起にも取り組んでいる。

 フランスは5・9%増の26万9千人。フランス国内でのテロ事件に伴う非常事態宣言の延長、大統領選挙決戦投票や国民議会選挙の影響などでマイナスの月もあったが、訪日旅行の割高イメージの払拭を狙い、航空会社とともに価格訴求型の広告などを展開した。

 ドイツは6・7%増の19万6千人。ドイツ経済の好調が外国旅行意欲を喚起する中、航空座席供給量の減少や前年の3千人規模のクルーズ船寄港の反動でマイナスに転じた10月を除きすべての月で過去最高を更新した。

 また、ロシアが40・8%増の7万7千人と大幅に増加した。査証の要件緩和の効果が大きく、2月以降に訪日者数が伸びた。桜鑑賞のツアーのピークとなる4月の伸び率は66・6%増に達した。

 
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