観光庁は5月29日、統計調査に基づいた2011年の旅行消費額(確定値)を発表した。観光、帰省、ビジネスを含めた国内の旅行消費額は22兆4千億円で、前年に比べて4.3%減少した。日本人の国内宿泊旅行の延べ旅行者数、旅行単価がともに減少したほか、東日本大震災の発生などを受けて訪日外国人の旅行者数が減少し、前年を下回る消費額となった。
国内の旅行消費額22兆4千億円の内訳は、日本人の国内宿泊旅行が前年比4.1%減の15兆1千億円(全体に占める構成比67.5%)、日本人の国内日帰り旅行が同2.3%減の4兆9千億円(同22.1%)、日本人の海外旅行(国内消費分)が同7.4%増の1兆3千億円、訪日外国人旅行が同25.9%減の1兆円(同4.5%)。
構成比が最も大きい日本人の国内宿泊旅行の消費額は、延べ旅行者数が31億4千万人で前年に比べて1.3%減少し、旅行単価も4万7149円で前年に比べて2.6%減少したことで前年を下回った。下げ幅が大きい訪日外国人の旅行消費額は、訪日外客数が621万9千人で前年に比べて27.8%減少したことが響いた。
国内の旅行消費額22兆4千億円が日本経済にもたらす経済波及効果は、生産波及効果(生産誘発額)が46兆4千億円で、内閣府が作成する国民経済計算(SNA)による産出額の5.1%に相当する。雇用効果(雇用誘発者数)は397万人で、SNAの就業者総数の6.2%を占める。
観光GDP率 日本は低水準
観光庁は、観光統計の国際的な基準として世界観光機関(UNWTO)が推奨している旅行・観光サテライト勘定(TSA)を導入している。TSAの導入で旅行・観光にかかわる生産額、消費額などの経済規模をTSA導入国間で比較することができる。
2011年の日本の旅行消費額22兆4千億円は、TSA導入国の中ではアメリカの56兆3千億円(10年統計)、ドイツの30兆9千億円(同)に次いで大きく、フランスの15兆3千億円(同)、イギリスの14兆5千億円(09年統計)などを上回っている。
一方で、旅行消費額に占めるインバウンドの割合は、日本が4.5%で最低水準となっており、韓国の47.2%(統計年次不詳)、フランスの31.5%(10年統計)、イギリスの17.1%(09年統計)などと差が開いている。
また、UNWTO基準による日本の観光GDP(国内総生産)は8兆2千億円で、日本のGDPに占める割合は1.8%。TSA導入国の中では、韓国の1.5%(統計年次不詳)とともに低水準で、スペインの5.9%(08年統計)、ドイツの4.4%(10年統計)、フランスの3.7%(05年統計)、イギリスの3.6%(09年統計)などを下回っている。