帝国データバンクはこのほど、2019年度の賃金動向に関する企業の意識調査を行った。同年度に賃金改善があると見込む企業割合は55.5%で、3年連続で5割を超えた。「ある」が「ない」を9年連続で上回り、「賃金動向はおおむね改善傾向にある」(同社)。
正社員のベースアップや賞与、一時金の引き上げなど、賃金改善見込みの有無を聞いた。あると回答した企業が55.5%、ないと回答した企業が19.1%、「分からない」が25.4%だった。
あると回答した企業は前年調査(56.5%)から1.0ポイント減少。ただ、3年連続で5割を超えた。ないと回答した企業は前回(18.4%)から0.7ポイント上昇。両者の差は縮まったが、36.4ポイントと、依然大きな開きがある。
あると回答した割合を10の業界別で見ると、建設(60.0%)、製造(59.2%)、運輸・倉庫(58.0%)が上位。サービスは53.7%で5位。金融が29.6%と最も低い。
企業の規模別では、大企業が51.6%、中小企業が56.5%、小規模企業が49.6%。前年に続き、中小企業が大企業を上回った。
賃金改善の理由を複数回答で聞いたところ、「労働力の定着・確保」が80.4%と、初めて8割を超えた。以下は「自社の業績拡大」(40.9%)、「同業他社の賃金動向」(24.4%)、「最低賃金の改定」(16.3%)、「消費税率引き上げ」(10.9%)など。
「自社の総人件費が前年度と比較してどの程度変動すると見込んでいるか」の問いでは、平均3.02%の増加が見込まれる結果となった。