厚生労働省は6日までに、2017年度の旅館・ホテルの営業施設数と客室数をまとめた。それによると、今年3月末現在の旅館軒数は3万8622軒で、前年度と比べ867軒減となった。依然として減少傾向にあるが、千軒を超える減少数が続いていたここ数年と比べると、その幅は小さい。ホテルは同301軒増の1万402軒。また、簡易宿所は同2892軒増の3万2451軒となり、旅館軒数に迫る勢いをみせている。
旅館・ホテル、簡易宿所、下宿を含めた「旅館業」の営業施設数は8万2150軒で、前年度比2308軒の増加。8万軒を突破したが、簡易宿所の増加が大きい。背景には一般住宅などに観光客らを泊める住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行があるとみられる。旅館との差は約6千軒まで縮まっている。
旅館3万8622軒の総客室数は68万8342室で、同3620室の減少。一方、ホテルの総客室数は90万7500室で、同3万7690室の増加。ホテルの客室数は09年度に初めて旅館を上回ったが、その差はわずか6177室だった。しかし、17年度では21万9158室まで広がっている。
都道府県別にみると、旅館軒数は軒並み減っており、増えたのは東京(60軒増の1306軒)や沖縄(50軒増の613軒)、佐賀(1軒増の297軒)の3都県のみ。減少幅が最も大きいのは静岡で、1年間で73軒減った。長野(72軒減)や三重(65軒減)なども目立つ。
軒数そのものが多いのは静岡で、なお2624軒が営業している。これに北海道(2195軒)や長野(2168軒)、新潟(1846軒)などが続く。2千軒台を維持しているのは静岡、北海道、長野の3道県にすぎない。最も少ないのは香川の249軒。
客室数では軒数が増えた東京が5万8583室と最も多い。次いで、北海道(4万2142室)、静岡(4万175室)、長野(3万6004室)の順。
ホテル軒数が最も多いのは東京の718軒。20年の東京五輪・パラリンピックを控え、軒数はさらに増えそうだ。北海道(702軒)や長野(509軒)、大阪(498軒)も多い。最も少ないのは徳島で45軒となっている。
一方、簡易宿所が多いのは長野で3582軒に上る。増加率が高いのは京都(820軒増)や大阪(211軒増)、東京(138軒増)など大都市で、民泊の需要増で軒数が増えているようだ。