日本政府観光局(JNTO)が16日に発表した10月の訪日外客数は、前年同月比14.7%増の70万6千人だった。東日本大震災前の水準の前々年同月との比較では2.9%の減少。尖閣諸島をめぐる問題を受けて中国からの訪日客数は、団体客を中心に減少し、前年比、前々年比ともに約3割減。一方で震災後の回復が遅れていた韓国は減少幅が縮小し、豪州は震災前との比較で初めてプラスに転じた。
震災前の水準である前々年同月との比較では、6月に1.4%増と初めてプラスを記録した後は、7月が3.8%減、8月が3.3%減、9月が8.0%減と推移している。今年1〜10月の累計では703万3千人となり、前年同期比で38.0%増、前々年同期比で4.0%減となった。
10月の中国は前々年同月比33.2%減の7万1千人。尖閣諸島の問題が国慶節休暇の旅行をはじめ団体旅行を中心に影響したとみられ、減少率は9月の10.1%減に比べて拡大した。ただ、JNTOは、個人旅行について「減少しているものの実施はされており、新規予約の動きも見られる。比較的影響は抑えられている」と指摘した。
韓国は同13.2%減の16万8千人。円高や放射能への不安は依然あるが、減少率は9月の24.9%減から縮小した。LCC(格安航空会社)の就航で航空運賃が下がったため、「訪日旅行の割安感が醸成されたことが需要回復にプラスに作用した」(JNTO)。
10月として過去最高を記録したのは、台湾、タイ、マレーシア、ベトナム、インド。台湾が同27.0%増の13万4千人と好調だったほか、タイが同14.0%増の3万2千人となり、7カ月連続で過去最高を記録した。
他の市場では、複数のクルーズ船の寄港などで豪州が同7.4%増の1万8千人となり、初めて震災前の水準に回復した。米国は同0.9%増の6万7千人、英国が同8.6%増の2万人だった。
10月の出国日本人数は、前年同月比3.0%減の147万2千人。前年同月との比較では2カ月連続でマイナスとなった。